吉澤裕総領事インタビュー記事

 昨年から、在シカゴ日本国総領事館では、旧在カンザスシティ総領事館の閉館にあたり、それまで管轄していた4州(イリノイ、インディアナ、ウィスコンシン、ミネソタ)に加え、旧在カンザスシティ総領事館管轄の6州(アイオワ、カンザス、サウスダコタ、ネブラスカ、ノースダコタ、ミズーリ)を合わせた10州を管轄を管轄するようになった。 管轄地域が増えたにも関わらず、それまでと変わらない対応がなされているのは、一重に総領事館の皆様の努力によるものであると感心する。

 そのような現状の中、在シカゴ日本国総領事館の吉澤裕総領事にお話を伺うことができた。 以下は、吉澤総領事のお話である。

−在シカゴ総領事の仕事について

 在シカゴ総領事の仕事を大きくまとめると3つあります。 一つ目は、中西部にいる日本人のお役に立つということです。 具体的には、パスポート更新、各種証明や届出、選挙関係、犯罪への対応などがあります。 二つ目は、中西部と日本人との文化や経済の交流のお手伝いをすること、三つ目は、中西部と日本との相互理解を促すことです。

 この仕事へは、一つ目の、中西部にいる日本人のお役に立つということに関しては、管轄の日本の方々に、親しみやすく信頼いただける総領事館にしたいという気持ちで望んでいます。 また、二つ目の文化や経済、そして、三つ目の相互理解に関しては、文化や経済に限らず、アメリカ人と接すること自体が相互理解につながると考え、そのつながりが大きく広がるように、いわば触媒のように、関わっている人々が円滑に活動できるようにサポートしていきたいと考えています。

 日々の仕事については、管轄が増えて、邦人などと接する機会には努めて出席するようにしているので、時間を拘束されることが多いですが、人と会うことは私にとって楽しみでもあるので仕事自体は楽しんでやっています。 具体的には、日米関係の団体、学校、州議会講演、日本祭りなどで、土日も問わず出張も多いです。 日本の文化的行事の際には、日本の文化人とお会いする機会を持つことができるので楽しみにしています。

−余暇の過ごし方や人生で大切にしている事について 

 余暇については、仕事も一生懸命しますが、余暇もとるようにしています。 夏にはゴルフをします。 冬はゴルフができないので、近頃では、オペラの切符を買って友人と出かけるなどの楽しみを見つけています。

 人生で大切なことは、済んでしまったことを悔やまず、これからのことを考えることだと思います。 また、若いころは、よく他人に対してもこういう風にしてくれたらいいのにという気持ちがあったような気がしますが、最近は、相手が喜ぶようなことがしたいと考えるようになりました。 うまくできているかはわかりませんが、家族にも友人にも、仕事でも、相手の望むものを考えるようになったと思っています。 昔、ケネディー旧大統領がおっしゃっていた、「国が君のためにできることを考えるのではなく、君が国のためにできることを考えるべきだ」という言葉を思い出します。

−総領事館の役割について

 日本の在外オフィスには、大使館、代表部、総領事館の3種類があります。 大使館は、ワシントンのように国と国との関係についての仕事をします。 代表部は、国連などの国際組織の所在地にあります。 総領事館は、在留邦人の支援や文化の交流などを主な仕事とします。 私は、米国勤務は今回で3回目になりますが、総領事館の勤務はニューヨークに次いで2回目になります。 今回の在シカゴ総領事館勤務と、前回の在ニューヨーク総領事館勤務には、2つの背景による違いがあると考えています。 それは、時代の違いと町の違いです。

時代の違いに関しては、前回のニューヨークは、自動車に代表されるような貿易摩擦に関する話題の盛んな頃で、テレビなどで日本の考えを伝える場面もありました。 急激に力をつけた日本の経済に対し、米国とは異質な部分への理解が進んでいなかったとも考えられます。 今回のシカゴでは、いわば、日本の良さへの理解があると感じます。 自動車中心の投資に関しても感謝や歓迎の声を聞くことができました。 一方、相対的に見て、中国やインドなどの経済成長が目覚しく、経済に関する米国の関心がそちらに向いている部分もあると考えられます。 町の違いに関しては、中西部は、日本のみに限られているものではないと思いますが、日本に対して大変親しみを持っていると感じます。

そのような状況の中、いかにして日本への関心を高めるかということは、大きな課題であると考えています。 その課題には、2つの切り口があると考えています。 それは、我々が本質的に何を伝えるのかという切り口と関心を持つ入り口として何を伝えるかという切り口です。 前者に関して、日本には、「優れた技術力」や「伝統と新しいもののコラボレーション」など良い面がたくさんありますが、そのような日本の良い面を米国人に知ってもらうということだと考えています。 後者は、それほど日本に興味のない人に対し、関心を持つ入り口として何を伝えるかということです。 近頃では、野球の井口選手やイチロー選手、荒川選手の金メダル、または、アニメ、マンガのような日本発として代表される内容がきっかけとして大きな役割を持っていると考えています。 このようなきっかけは、日本の良いところを結集しているとも考えることができますが、さらに他の良い部分をも伝えていきたいと考えています。

先日、アニメセントラルを訪問し、挨拶をしたのですが、そのときの歓声はとてもすごかったです。 秋には、インターナショナルフィルムフェスティバルにて、シカゴ日米協会主催で富野由悠季監督をお招きし、「ガンダム」の最新版などが上映されるのにも期待をしています。 そのような活動に対しても、パブリシティーやネットワークで支援していきたいと考えています。

−在シカゴ領事館において難関だったことと今後やりたいことについて

 特に、在カンザスシティー総領事館閉鎖に伴う難関としての課題が2つありました。 一つ目は、在カンザスシティー総領事館の閉鎖に伴い、現地との関係が途切れないようにすることでした。 これについては、現在も絶やさないようにできていると考えています。 二つ目は、在留邦人の皆様のサービスの低下に対する心配への配慮や不便にならないための対応です。 当初は、在カンザスシティー総領事館の所在についての問い合わせもありましたが、現在は、毎年数箇所へ領事出張サービスを実施しており、ご不便も最低限に抑えられていると考えています。

 シカゴで今後やりたいことについては、三つあります。 一つ目は、文化交流に関すること、二つ目は、管轄地域の米国要人に関すること、三つ目は、日本人がシカゴに来てもらえるようにということです。 一つ目の文化交流については、日本の各ジャンルのグループがたくさんきていますが、近いうちに、日本の伝統芸能の分野で歌舞伎、能、文楽などの大きなプログラムのサポートができればと良いと考えています。 二つ目の米国要人に関することについては、今年、イリノイ州のパトリック・クイン副知事が日本に初来日ということでお招きしたことが、イリノイ州と日本の交流として日本の良さが伝わった良い機会であったと考えています。 これを受けて、今後も管轄地域の米国要人が日本に触れる機会を増やしていきたいと考えています。 三つ目のより多くの日本人がシカゴに来てもらえるようにするということに関しては、近頃では、井口選手の話題などで日本においてもシカゴはかなり知名度が上がってきているとは思いますが、未だに、シカゴといえばアルカポネのようなマフィアをイメージされるような日本人の方も多いと思います。 航空便に関しても、現在は直行便が一日6便ですが、今後は便数も増えます。 また、日本の国会議員もシカゴの空港を利用しますので、もっとシカゴの良いところを伝えていき、日本からシカゴにもっと人が訪れるようになればよいと考えています。


−日本の方とメディアへのメッセージを一言

◆日本の方へ
「親しみやすく、信頼される総領事館であるように努力しておりますので、気軽に利用していただきたいと思います。良い点や改善点など気づいたことを教えていただければと思います。」

◆メディアの方へ
「インターネットの情報発信力や影響力は大変大きいのでいろいろな面でお役に立ちたいと考えています。我々が持っている情報を活用していただければと思います。」

吉澤総領事は、優しく、親しみのわくような雰囲気のお人柄であり、穏やかでとても配慮のある方という印象が強かった。そんな吉澤総領事と対面していたら、中西部の広大な管轄地域の責任者であり、拡大した管轄地域のフォローなど、日々ポジティブにバイタリティーあふれる活動をされている方ということを、ふと忘れてしまうような雰囲気のインタビューになった。ご多忙の折、急にお時間をいただいたのにも関わらず、答えにくい質問へも一つ一つ丁寧にわかりやすくお答えいただき、大変感謝している。

また、日本からシカゴにもっと人が訪れるようになればよいというお話については、シカゴ市も力を入れたい内容であり、US新聞の大きなテーマである「シカゴを盛り立てていく」ことと同じ思いであるので、メッセージを真摯に受け止め、今後も積極的に取り組んでいこうという気持ちを新たにした。

今回のインタビューで総領事のお人柄に触れ、US新聞一同、一気にファンになった。

2006年4月26日@在シカゴ総領事館総領事室

文責:鴻田 写真:藤河


■吉澤裕(YUTAKA YOSHIZAWA)氏 経歴紹介

吉澤氏は、2004年4月から在シカゴ総領事として勤務しています。 吉澤氏にとって、アメリカでの勤務は3度目で、1985年から1987年にワシントンD.C.の大使館で経済担当官、そして、1993年から1996年までニューヨーク市の総領事館で広報センター所長として勤務しました。

外務省職員として30年以上の経験があります。東京大学の法学部を卒業した後に、外務省に入省しました。その後、外務省のプログラムにより、オックスフォード大学で2年間学びました。

アメリカ合衆国の他に、北京(中華人民共和国)、ニューデリー(インド)とプレトリア(南アフリカ)の日本大使館に勤務しました。日本では、外務省国際連合局人権難民課長を務めた他、内閣審議官として国連平和維持活動(United Nations Peace Keeping Operations.)への日本参加に関する法律案作成に係わりました。

2004年4月まで、国際交流基金の総務部長を務めました。 吉澤総領事は結婚しており、息子が1人います。現在、妻の文子さんと、エバンストンに住んでいます。1951年2月東京生まれです。

    (在シカゴ総領事館ウェブサイト総領事プロフィール欄から抜粋、日本語訳)
                            訳:佐藤

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