三谷哲郎氏(JCCC事務局長)インタビュー記事

 今年で創立46年目を迎えるシカゴ日本商工会議所(以下JCCC)は、シカゴ進出日系企業を中心とした会員により構成される経済団体。“商工会議所”と聞くとビジネス以外にはなじみが薄い世界に感じられるが、現地駐在の日本人家族には不可欠な日本語学校(シカゴ双葉会日本語学校、全日校・補習校)の運営や教育関係者の日本派遣といった教育支援事業や、ゴルフ大会やコンサートの開催などその活動はビジネス以外でも多岐にわたっている。そのJCCCの事務局長を務める三谷哲郎氏にお話をうかがった。


― まずJCCCの概要と事業内容を教えてください。

JCCCは、1966年に約60社のシカゴ進出日系企業が互いの親睦を深める目的で設立されました。現在は、正会員341件(日系企業)、賛助会員23件(現地企業)、個人会員123件を含む479件の会員で構成されており、登録人数は約2000名です。
 JCCCには事業内容によって大きくふたつの委員会が設けられています。そのひとつが「商工業政策運営委員会」というもので、これは主に会員間のビジネスに関するサービスを中心に行っています。
 会員企業は、機械、金属、金融、運輸・観光などの8つの業種別からなる部会を構成していますが、その部会が業界に共通した各種セミナー(財務、法務、人事管理、金融など)の立案を行い、商工業政策運営委員会はそれらの行事計画を決定する役割を果たしています。
また、毎年各業界で活躍される著名な講師を招いた講演会(ビジネス・フォーラム)もここが主催しています。

 もうひとつは「渉外PR委員会」で、ここはJCCCの存在を地元コミュニティーに広げながら日米の交流を促進するための活動をしています。
 その代表的なものが、地元の教育関係者を日本に派遣するJEEP(ジープ:JCCC Educational Exchange Program)です。これは、日本語教育に携わっている現地校からの推薦や一般公募で選ばれた候補者から3名ほどを選んで、毎年6月末に約2週間、日本の教育事情視察に派遣するプログラムです。 昨年は震災で中止になりましたが、今年は仙台、岩手の被災地の学校を含めた日程を予定しています。参加者のレポートはJCCCの会報でも紹介させていただきます。
 
 また、毎年11月には日本語補習校の生徒たちが通っている現地校の先生方に、日本語学校の授業参観をしてもらう「オープンハウス」が開催されています。その際の全体会議でJEEPに参加した先生から活動報告をしていただく予定です。

 さらには、シカゴ近隣の10州を対象にした「日本語弁論大会」も日本総領事館などとの共催で毎年行っています。小学生低学年から高校・大学までの4部門各10名ずつで競い合い、最優秀賞として日本への往復航空券と副賞、また姉妹都市賞として大阪市が推薦するホームステイパッケージが贈られるほか、上位入賞者へは会員企業から提供された賞品なども贈られます。今年は3月24日に開催の予定です。
 また地域貢献事業として、9月に行われるミシガン湖の清掃ボランティア活動の実施もこの委員会が中心となって行っています。

― ビジネス以外にも一般の家族向けにもいろいろなイベントをされていますね。

 ご家族向けのファンドレイジング・イベントとして、コンサート、チャリティーゴルフ、クルージングを3本柱として開催しています。去年はマンガ家の西原理恵子さんと、シカゴ在住のヤマザキマリさんによる「漫画対決イベント」を開催して漫画の好きな方や若い方に多数お越しいただきましたし、3年前までは毎年、落語家の桂三枝さんをお招きして独演会を開催してきました。このようにビジネスとは関係のない娯楽・芸能行事も、広く会員の方に楽しんでいただいています。このほかにもチャリティーイベントなどは、主に関連の「JCCC基金」のほうで行っています。
 
― JCCC基金(ファウンデーション)はどのような役割なのでしょうか?  

 「JCCC基金」というのは、JCCCとは別のNPO団体として1991年に設立された慈善基金団体です。ここでは、設立時に各企業や個人の方からの寄付で集まった現資金を元手にしながら、ファンドレイジングを目的とした様々なイベントなどを企画、開催しています。そこで集まったファンドは、毎年10月に行われる“基金贈呈式”でそれぞれ「人材育成」、「日本語教育支援」、「日米交流」という3つの分野から申請のあった団体に、審査を経て交付されます。在シカゴ日系団体(約10団体)の活動のための援助金交付も、この中に含まれます。

2011年度基金贈呈式。合計15機関へ85,000ドル強が交付された

― 昨年の東日本大震災後の義援金活動についてお聞かせください。


 まず、震災後の会議で義援金を募るための窓口を「JCCC基金」と決定し、3月15日から皆さんに義援金募集の広報を始めましたところ、会員企業さんをはじめ現地アメリカの企業や個人の方から多くの寄付が集まり、約1か月で約68万ドルに達しました。これと同額をマッチング(JCCC基金から拠出)した総額136万ドルを、5月に日本赤十字社にお送りさせていただきました。その後も約20万ドルの義援金が集まっており、これは震災1年目を迎え、再度日本赤十字社に送られることが検討されています。

― 日本から心強いゲストもシカゴを訪れ義援活動をされましたね。


 昨年9月初旬には、元大相撲大関の小錦(KONISHIKI)さんに震災支援という形でお越しいただきましたし、先月の新年会では演歌歌手のJEROさんにゲストとして出演いただきました。(※記事参照) 

おふたり共、NBCの朝のニュース番組に生出演していただき、被災地の現状報告と支援のお礼や更なる支援を地元シカゴに直接アピールしてもらえたことは本当によかったと思っています。
 9月3日のJCCC主催の小錦さんのチャリティーコンサートには、500名以上の方がお見えになり、総額15,000ドルの収益(基金)を上げることができました。その翌日には、シャンバーグ市のSeptember Festに急きょ特別出演いただき、震災の報告、援助のお礼を発信していただきました。
                                  家族連れが多く参加した小錦チャリティコンサートには、子供たちも出演

 さらに、9月5日には今度は小錦さんからの希望で、被災地での炊き出し活動の資金作りのための「ちゃんこ鍋チャリティーイベント」を、ミツワ(地元の日系スーパー)で行いました。この際、食材はミツワさんやJFC Internationalさんからご提供いただき、地元のボランティアの方が準備のお手伝いをされました。
 この時の売り上げをもとに、その後10月に小錦さんを中心とする「チーム・コニシキ」は、宮城県で炊き出しをしましたが、その時もJCCCの事務局及び会員関係の多くの方々が運営スタッフとしてボランティアで参加させていただきました。

(左)ミツワで行われた「ちゃんこ鍋チャリティーイベント」  (右)宮城県での炊き出し風景

― そもそも三谷さんとJCCCとの出会いは? 


 私は1976年に27歳でハワイに移住してJALに入社し、以後32年余りにわたり空港と営業の現場で仕事をして来ましたが、2010年4月に希望退職し、次の仕事先についてはできれば英語を生かして日本とかかわれる事をしたいと思っていたところに、ちょうどJCCCの事務局長のお話をいただいたんです。私自身1981年からずっとシカゴ勤務でしたから、前職を通じてJCCCとの係わりもあり、また顔見知りの方々と引き続きお付き合いさせていただけるこの上ないポジションという思いがあり、面接を経て2010年の9月27日から正式に事務局長として勤めています。
 
― 実際に予想と違っていたことはありますか? 
 
 先ほども述べましたが、想像以上にいろんな仕事内容があるんだなということにまず驚きました。また、“事務方”というのも全く前職とは違うということですね。前はセールスでしたので自分が前に行って売り込むほうでしたが、事務局は売り込むよりも皆さんの意見や立場をうまく調整しながら事をすすめる、というところが随分違いますね。1年経ってひととおり仕事の予測と段取りがつくようになり幾分楽にはなりましたが、いつもどこかで気を張っている状態です。

― 2012年の取り組み、方針について教えてください。

 まず、震災を忘れてはいけないということですね。去年は震災援助のための活動をいろいろしてきましたが、今年もJCCCでは引き続き震災の支援を念頭に置きながら活動していきたいと思っています。
 
 また会員サービスという面では、ビジネス面だけでなくご家族で楽しんでいただけるイベントをもっと意識してやっていって、JCCCの活動を広く知っていただきたいですね。
 組織の面では、事務局をさらに安定させJCCC全体の運営をより円滑にしていくこと、チームワークよくやっていくことが対外的にも大事だと思っています。そのためにもまず、自分をメンバーによくわかってもらって、みなさんが気持ちよく仕事ができるように心がけてやっています。

― 読者の方へシカゴの魅力についてひとことお願いします。   

 
シカゴの魅力は「良き都会の田舎」ということでしょうか。穏やかな大都会で人々の人柄が非常に優しい。「怖い」「暗い」というイメージを持たれがちですが、来てみるとのんびりしているし人柄もいいし、駐在員の方が帰りたがらないですよね。私がシカゴに来た81年頃と比べると、郊外へと日系コミュニティーも格段に広がりましたし、町におちついた一体感があります。
  シカゴで一番好きな場所は、アドラー・プラネタリウム&天文学博物館から見るシカゴの街。四季折々の風景がダイナミックな湖と建物の調和とともに楽しめます。あとはやはりジョン・ハンコックセンター95階からの整然とした素晴らしい街の眺めでしょうか。これはおすすめですよ。



 シカゴ歴31年目の“シカゴアン”。「どちらかというと神経質で几帳面、でもわりにさばさばしているほう」と自己分析する三谷局長。営業職だった前職では自分にかかる責任で胃が痛くなることが多かったが、現職では気を遣うせいか「胃よりも肩こりがひどくなりました」と笑う。仕事のモットーは「明るく・楽しく・元気よく」。その言葉通り、オフィスは若く明るいムードが漂っていた。

2012年2月9日@JCCCシカゴオフィス

                        文責:長野尚子  写真:藤河信善



■三谷哲郎(Tetsuro Mitani)氏 略歴
1949年 4月17日 鳥取市生まれ
1976年 アメリカハワイへ移住。 JALグループ会社勤務
1978年 JALアンカレッジ空港支店勤務
1981年 JALシカゴ市内支店勤務・日系セールス担当
2010年 4月JAL退職 10月より現職

妻とバーリントンで二人暮らし。長男(ハワイ在住)、次男(日本在住)


●JCCCホームページ:http://www.jccc-chi.org/

●JCCC主催イベント案内
JCCC BUSINESS FORUM 
岩國哲人氏講演 日本の七不思議〜地震を越える日本の自信〜

◇日時:3/16(金)3pm〜6pm
◇場所:Doubletree Hotel Arlington Heights
◇予定:3pm〜5pm 岩國氏講演
  5pm〜6pm 懇親会
※講演は全て日本語となります。
◇案内申込書:こちら(http://www.jccc-chi.org/docs/2012JBF.pdf

★Kizuna: The Bonds of Emotion Japan Earthquake Photo Exhibition
東日本大震災追悼写真展-絆
◇日時: 3/12~16 8 am - 6 pm
◇場所: State of Illinois Thompson Center ground level lobby (100 West Randolph Street, Chicago)
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◇日時:3/ 21-31 11:30 am -5:30 pm
◇場所:Block 37 (108 North State Street, Chicago)
※入場料はどちらも無料。
For more information http://www.chicagosistercities.com/wp/news/osaka-japan-earthquake-photo-exhibition/


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