「ICE」小林監督・澤プロデューサー、「星影のワルツ」若木監督

 シカゴ国際映画祭への招待に伴い、シカゴ訪問中の「ICE」小林監督、澤プロデューサー、「星影のワルツ」の若木監督、両名に作品のこと、シカゴのことなどを聞いてみた。 


「ICE」 小林 誠 監督

近未来の設定でより明確に警笛ならしたい 
*今回の作品は遠未来ではなく、近未来の設定ですが、どうしてですか 

小林:遠い未来の話にしてしまうと、人々に逆のメッセージを与えることがある。いつか終わりがくるんだから、じゃー、今を安易に生きようとなる気がする。近未来にすることによって、滅亡は遠い未来の話じゃなくて、すぐくるかもしれないと、はっきりと警笛をならしたかった。 

*日本のアニメーションは、文学性が高いと海外でもよく評価されていますが 

小林:そうですね。キッズアニメは別として、日本のアニメは確かにメッセージ性が強いと思います。アメリカの作品とかは、エンターテーメント性ばかりを強く出しているのに対して、日本の作品は文学的だと思う。 

今回の作品、「ICE」は、日本のアニメの流行をあえてはずした。どちらかというと、私小説、ブログに近い物にしたかった。 

*思い入れのあるシーンは

小林:全部だけど。前半の3分の1は今まで通りスタッフにも手伝ってもらいながらだったけど、後半3分の2は、バックの絵も全て自分でやったから。今回はシナリオも手がけたし、ストーリーごと思い切らせてもらった。 

シカゴ、ずーっとカッコよすぎ

*シカゴ訪問は始めてということですが、印象は 

小林: シカゴって、独特な感じがある。ニューヨークとかは、新宿にいるのと変わらない感覚に陥るけど、シカゴはまさにアメリカの街って感じ。他の街が真似できない独自性を持っていると思う。街を歩いているだけで面白い。 

教科書とかでしか見たことがない高層ビルとか、建築物とかがあちこちにあるでしょ。大抵、そういう歴史的建築物って、見学だけとかになってることが多いんだけど、ここは違う。ちゃんと使われてるっていうのに驚いたよ。それに、その町並みが一部だけじゃなくて、ずっと先まで続いている。オー、すげー、どこまでいってもゴッサムシティ(バットマンの)じゃん。ずーっとカッコよすぎと思ったね。 


「ICE」 澤 昌樹 プロデューサー

イメージを自分で形にしていく監督 

*小林監督の魅力はどんなところですか

澤: クリエーターは発想に独自性が強くないと見る人にインパクトを与えないが、監督はとにかくその引き出しが広い。一つの作品を料理するときにも色々な引き出しから発想がでてくるところが魅力だと思います。イメージをとてもしっかりと持っている監督なので、スタッフが監督のイメージについていけないことがあるんですが、周りがついていけなくなった時は普通の監督さんのように技能職だけに仕事をまかせるのではなく、最終的には監督自らが「僕がやるから」と進めてくれる方です。 

*今回の作品「ICE」について 

澤:ほとんど作りたいビジュアルになるようにやってもらったので、とても小林作品の色が強く出ていると思います。今までは、小林誠というと、メカデザインや背景デザインの分野で才能を発揮されていたので、技術者のイメージが強かったと思いますが、ICEでは技術者だけでなく、監督ということで、これまでの作品にない、バランスが面白いかもしれない。これまで実践できなかった小林監督の世界観を存分に発揮していただいた作品です。

コアなアニメファンだけでなく色々な人に楽しんでもらえる作品

*内容については 

澤:近未来の設定で、メタファーが現実に近いので、リアリティーがある作品です。環境問題がテーマにあり、これまでアニメにあまり馴染みのなかった人たちにも十分に楽しんでいただけると思います。実写で人間がこの物語をするとつらい映画になってしまいますが、アニメですと実写よりエンターテーメント性が強くなるので、見れるようになると思う。これまでは、小林作品というとコアなアニメファンからの人気が強かったが、ICEはそんなコアなアニメファンを満足させながら、広く一般の人にも満足していただける作品に仕上がっていると思います。国を超えて、楽しんでいただきたい作品です。 


「星影のワルツ」 若木 信吾 監督

初監督作品でいきなりの大舞台 

*初監督作品で国際映画祭に招かれたご感想は 

若木: ラッキーだと思いました。ありがたいことです。自分のおじいさんのメモリーで、おじいさんにたいするオマージュを作品にしたものなので、こうやって受け入れられたことはすごく光栄です。 

映画を撮りながら写真のよさを再発見 

*監督は写真家ですが、写真と映画の違いは 

若木:写真集を作る時も、ストーリー性を考えながら構成をしていくので、ビジュアルの構成の仕方は写真集を作る時と似た作業でした。監督となると、演出もしなくてはいけない。映画の場合、1シーンが長いカットが多いので、失敗できないんです。例えば、写真の場合は、一瞬が1カットだから、細かい演出まではしなくても大丈夫なところがあるけど、映画の場合は、それができない。広さがそこまでない砂丘をどうやって広く見せるかとか、細かいところまで気をつかわないといけなかった。写真はその短い一瞬で最大限の効果を引き出すから、映画をとりながら、また写真の良さを改めて実感しました。 


撮影は全て地元で

若木:本当に、自分の実家の近所とか、地元で全て撮りました。いつが光の加減が一番良い時間帯かとかが地元だと分かっているので、撮りやすかったかもしれません。中心地は大分変わってますが、実家の周りはほとんど変わっていないので、そういう意味でもよかった。

*シカゴの人たちに見てもらいたいところ

若木: ローカルな話なので、どこまで理解されるか分かりませんが、もし、シカゴにも自分の田舎がある人がいるとしたら、僕の映画を見て、自分の田舎を思い出してもらえたらと思います。

映画、またやってみたいです

若木:シカゴに向かう飛行機の中や、昨日も他の作品を見て、自分の作品のことを考えていた。映画はやるつもりなかったけど、名作をみていたら、またやってみたいなと思いました。


                                      インタビュー:宮本佐織/写真:藤河信喜

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