People's Festival (観客のための映画祭)、「アジアン・ポップアップ・シネマ」
3月1日から5月3日まで開催中!



Asian Pop-Up Cinema(アジアン・ポップアップ・シネマ、オープニングナイトは満員御礼
(photo: Sophia'sChoice Presents)
 
 アジアの選りすぐりの映画を紹介する「第4回 Asian Pop-Up Cinema(アジアン・ポップアップ・シネマ)」が、3月1日に開幕した。今回も、中国、香港、モンゴル、日本、韓国、台湾、チベット、ベトナムから全18作品(うち、ワールドプレミア1作品、アメリカプレミア3作品、シカゴプレミア5作品)が勢ぞろい、「AMC River East 21」ほか6か所の映画館で公開されている。

8か国から選び抜かれた全18作品が揃う
 このアジアン・ポップアップ・シネマ(以下「APUC」)が始まったのは2年前の2015年。創設者は、エグゼクティブ・ディレクターも務めるソフィア・ワン・ボッチオ(王曉菲)さん。 「LAにもNYにも、歴史ある立派なアジア映画祭があるのに、シカゴにないのはおかしいと感じていました。シカゴは民族のダイバーシティー(多様性)あふれる町。この地を発信地として、アジア映画を通じてアジアのカルチャーをもっと深く知ってもらいたいという気持ちからこの映画祭を始めました」
 
 
香港生まれ。父は映画製作会社の製作マンで母は女優という、まさに「映画のセットの中で育った」彼女は、長年にわたり中国や香港の映画のキュレーターとして国を超えて活躍。2000年に夫と共にシカゴ郊外に移住したのをきっかけに、シカゴ国際映画祭のマネージング・ディレクターなどを歴任しながら「いつかシカゴでアジア映画の祭典を」という想いを胸に温めてきたという。
 2015年、ついに念願の第1回APUCが開幕。「開幕までは苦労の連続で、多額の借金もしました。でも、この映画祭を何が何でもシカゴに根付かせなければ、という想いでした」 彼女の努力と実行力が実を結び、APUCは今ではシカゴの大切な文化イベントとして定着、進化を続けている。

「People’s Festival」

 “ソフィアズ・チョイス(Sophia’s Choice)”というタイトルの通り、上映作品の選択は彼女の重要な仕事。アジアの映画祭には積極的に出かけ、各国のアドバイザーと連携を取りながら注目の映画にはくまなく目を通す。選択の基準は「言語や文化のバリアを超えて味わってもらえるかどうか。暴力的なもの、武道オンリーの内容は除くようにしています。せっかく足を運んでくださるのですから、お客さんがそのテーマに共感でき、満足して劇場を後にしていただけるような作品を選ぶようにしています」 主催者の“Self-Indulgent(ひとりよがり)”や“Critic(批評家)のための映画祭”になってしまわぬよう、常に“People’s Festival(観客のための映画祭)”でありたい、それが彼女の信念だ。

 開催スケジュールが長いことも特徴。今回も、3月1日から5月3日までと2か月以上にも及ぶ。「短い間にやってしまうと、どうしても同じ時間に見たい映画が重なります。私はどうしてもそれを避けたかったのです。見たい映画をスケジュールの許す限り好きなだけ観ていただきたいのです」 そのうえで多くの作品を観てもらえるよう、開催は春と秋の年2回にした。「休む間もなし。だけどそれが私の使命だから」とソフィアさんは笑う。

ソフィアの“ファースト・チョイス”、「サバイバルファミリー」
 今回のオープニング作品に選ばれたのは、日本映画『サバイバルファミリー』。『ウォーターボーイズ』、『スゥイングガールズ』、『ハッピーフライト』とたて続けに大ヒットを生み出してきた矢口史靖(しのぶ)監督の最新作だ(日本での劇場公開は2月11日)。
 「ある日、突然電気がなくなったらあなたはどうして生き延びる?」をテーマに、都会に住む一組の平凡な家族がサバイバルジャーニーを繰り広げる、痛快シリアスコメディー。灯りもテレビもつかない、車や電車も使えない、いわんやコンピューターやスマホをや。スイッチひとつで機能が停止し静かなパニックに陥る人間社会は、わかっちゃいるけどなんとも無様で笑える。「スマホを持ったことも持つ気もない」と言い切る矢口監督だからこそ放てる、電気完全依存人間たちへのアイロニーは強烈だ。

3月1日のオープニングナイトで。ソフィアさんと矢口監督
(photo : Sophia'sChoice Presents)
「スマホで世の中何もかもが便利になって、目的地により早く着いたりモノを安く手に入れたりすることも簡単になりました。でも、それって楽しいですか?」 と矢口監督。こんな“心のつぶやき”が、映画に散りばめられている、が、決してどちらが正しいというジャッジはない。「言葉少なくシャイに見えて、とても現実的にしっかり世の中を観ている方。彼はまさに作る映画そのもののような人」と、ソフィアさんは監督を評す。

 
  (左)オープニングの挨拶をする矢口監督。「まずはみなさん、携帯電話の電源をお切りください」
  (右)映画の終了後、観客からの質問に答える監督(中央)。左はモデレーターのMark Schilling氏(ジャパン・タイムズ)

   (photo : Sophia'sChoice Presents)

 日本映画は、ほかにも阪本順治監督作品の『団地(Danchi)』(4月5日水曜日午後7時より「AMC River East 21」にて上映予定)が参加している。日本から今回この2作品を選んだ理由を、ソフィアさんはこう話してくれた。
「どちらも、物語がアメリカ人の観客にも親しみやすかったこと。ありえないシチュエーションでのコメディーという形をとりながらも、人々の日常の生活スタイルから完全に逸脱してしまわず、独創的でかつ信憑性あふれるストーリに仕上がっていること。そのうえで、地域や家族という単位で、より良い社会へ向かっていこうという希望を与えてくれる内容だったことですね」
 
アジアの国同士の映画を観て相互理解を
「アジア映画を通じてアジアのカルチャーを伝えたい」というソフィアさんの言葉を借りるならば、アジア人同士も自国の映画だけを観に行っておしまい、では意味がない。日本人の皆さんには是非、この機会に韓国や中国、台湾、チベットなど他国の優れた映画を観に行ってもらいたい。映画は視野を広げてくれるだけでなく、会話の引き出しにもなる。こんなきな臭いご時世だからこそ、一層お互いの国の事情やカルチャーを知り合うことが大切ではないだろうか。


◎矢口史靖監督のインタビュー記事は
こちら


◎Asian Po-Up Cinema(アジアン・ポップアップ・シネマ)
3月1日から5月3日まで
スケジュールや会場は下記のWebサイトを参照
www.asianpopupcinema.org

◎ 『サバイバルファミリー』オフィシャルサイト
http://www.survivalfamily.jp/

◎ 『団地』オフィシャルサイト
http://danchi-movie.com/




    ( 写真/文責: 長野 尚子  Text by SHOKO NAGANO )




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