2017年JCCC新年会。スペシャルゲストに
シンガーソングライター、渡辺真知子さんを迎えて

 昨年創立50周年の節目を迎え、次なる第一歩を踏み出したJCCC(シカゴ日本商工会議所)が主催する恒例の新年会が1月15日、「ルネッサンス・シャンバーグホテル&コンベンションセンター」において盛大に開催された。JCCC会員企業の家族など約780人が参加、新年らしく着物姿の女性の姿も華やかに色を添えた。

 JCCCは、1966年に約60社のシカゴ進出日系企業が互いの親睦を深める目的で設立された。現在(2016年11月現在)、正会員330件(日系企業)、賛助会員27件(現地企業)、個人会員165件を含む523件の会員で構成されており、登録人数は約2000名を超える。

 開会の挨拶に立ったJCCC会頭でキッコーマンフーズインクの清水和生氏は、51年目の第一歩にあたりJCCCが掲げる「会員サービス事業」、「教育支援事業」、「地域貢献事業」の3つのミッションをより一層推進していくことを宣言。岩藤俊幸在シカゴ日本国総領事および、イリノイ州知事オフィスのエリック・ブレア氏の来賓あいさつに続いて、シカゴ双葉会日本語学校補習校高等部3年の柏倉寛己君が新年&将来の抱負を語った。
高校生とは思えない落ち着いた様子で堂々と語る柏倉君  サンパウロで過ごした小学生時代、バリバリと働く父の姿に憧れ将来はグローバルな仕事がしたいと思うようになった柏倉君。高校生で初めて訪れたシカゴでは1年で帰国する予定だったが、アメリカでの貴重な高校生活を途中で辞めてしまうのはもったいないとシカゴに残り、現地校で高校生活を続けた。大学では経済学を学ぶつもりだ。
 「昨年11月には4年に一度の大統領選挙を身近に経験し、さまざまな意見を生で聞くことができ幸運でした。トランプ新政権でアメリカは、世界はどのようになっていくのかにとても興味があり、世界経済の仕組みをもっと勉強したい。そしてその中で自分がどのような貢献ができるのかじっくり考えていきたいです」と、メモに目を落とすことなく自分の言葉で力強く話してくれた。

 第2部は、日本からのスペシャルゲスト、シンガーソングライター渡辺真知子さんのコンサート。昨年10月に還暦を迎え、今年は記念すべきデビュー40周年、ご本人の言葉を借りると“人生のレッドカーペット”の第一歩をシカゴで迎えることをとても楽しみにしていたという渡辺さん。会場を埋め尽くした観客の多くはもちろん、彼女の歌と共に青春のひと時を歩み、現在・過去・未来の自分自身ををだぶらせる世代だ。

 

 『いろいろな白』でしっとりと始まったステージは、大ヒット曲の『ブルー』のスローアレンジとつづき、美空ひばりさんの名曲『りんご追分』へ。前半はマイクなしの圧倒的な迫力で歌い上げた。
 東北や熊本の震災を最中に書き上げたという『愛(いのち)のゆくえ』、『ときの華』。アップテンポにアレンジを替えた『川の流れのように』では会場がサンバのリズムに大きく揺れる。そして大ヒット曲『かもめが翔んだ日』は、ワルツからラテン調に展開、真知子ワールドが炸裂。昭和歌謡、ジャズ、サンバ、ラテン・ミュージック、とどんなジャンルも真知子色に染め上げ聴き手を引きこんでしまう力は、彼女のキャリアを物語る。

   
還暦を意識した、水玉が躍る真っ赤な衣装が素敵。
デビュー当時と変わらぬど迫力の歌声とともに歌詞が心に迫り、会場が一つに盛り上がっていく

 純白の衣装で現れたアンコールでは、21歳の時に書いたデビュー曲にして大ヒット曲『迷い道』。40年たっても名曲は心にささるもの。そう、いくつになっても人生は迷い道くねくね、なのだ。続いて、人生の酸いも甘いも噛み分けた大人の女にしか歌うことが許されない珠玉のジャズナンバー、『Here’s To Life』をしっとりと。最後は名曲『また逢う日まで』。場内の「昭和世代」が大合唱し、名残惜しい90分の熱いステージが終了した。

  90分のステージをがっちり支えた、素晴らしいバンドメンバーとスタンディングオベーションにこたえる。
石塚まみさん(pf&cho)
コモブチキイチロウさん(ba&cho)
加納樹麻さん(ds)


 
 (左)前日、岩藤総領事からプレゼントされたシカゴカブス優勝記念Tシャツを着て、感謝状を受け取る渡辺さん.
 (右)終演後、CDを求める一人一人に丁寧に笑顔で対応する渡辺さん。岩藤総領事もサインをもらってご満悦。



 第3部は、参加者全員が楽しみにしているラッフル大会。iPad(KDDI America, Inc提供)やiRobot(Meiji Corporation提供)、iRobot Roomba、パナソニックホームベーカリー、デロンギ Lattissima & Nespresso(OSG USA提供)、シカゴ発東京行き往復航空券(全日本空輸、日本航空提供)、シカゴ発お好きな都市への往復ペアチケット(ユナイテッド航空提供)など、協賛企業約70社から提供された豪華賞品の当選番号が発表されるたび、会場から大きな歓声があがった。

 何年ぶりかの、雪のない穏やかな天候に恵まれた新年会。多くのスタッフやボランティアの皆さんの縁の下の力のおかげで無事に終了し、参加した皆さんは明るい笑顔で会場を後にした。昨年、シカゴ・カブスが108年ぶりに念願のワールドシリーズ優勝を果たし、1月には地元選出のオバマ大統領が8年間の任期最後の演説を行ったばかりのシカゴ。この1年がこの地で生きる皆様にとって良き年になりますように。当サイトをご覧いただいていた全てのみなさまにこれまでの感謝をこめて。



■ 渡辺真知子さん特別インタビュー 
-- 昭和歌謡あり、ラテン音楽あり、ジャズあり、盛りだくさんで本当に楽しいステージでした。
 「幕の内ステージ」ね。(笑) 日本を離れていらっしゃるみなさんにどういうものが受け入れられるのかわからなかったんですが、やはりスタンダードの名曲は新旧問わずパワーがありますね。今日は改めて音楽に万歳、って思いました。とっても幸せで終わってしまうのがつらかったくらい。

-- デビュー当時は『迷い道』がいきなりの大ヒット、「テレビに出演する異色のシンガーソングライター」としても大忙しでしたね。
 当時はあまり難しく考えずにテレビに出てもいいじゃないか、という感じで出始めたんですが、そうなると今度は忙しくて作品を作る時間がなくなってしまって。移動の車の中で曲を作ったり、インタビューの途中で気を失ったように眠ってしまったり、そんな日々でした。新譜を出すペースも、一番多い時で2年に3枚でした。あの頃作っていた曲は、一曲のなかに”旨味”が何か所か入っているんです。一人でも多くの人が詞の中に参加できるように、「これは私の曲だ」と言ってもらえるようにと考えて作っていましたから、かなりのパワーがいりましたね。

-- その後、ニューミュージック全盛の時代が終わり、空白の時間に。その頃はどのように過ごされていたのですか?
 30歳から35歳くらいまでの間は、いわゆるバンドブームの時代に変わって、椅子取りゲームから外されたようなさびしい思いをしました。日本から出てしまった素晴らしいシンガーも多くいました。でも、それは不幸というわけでなく、ただそういう時代だったんだと。だから今度また自分たちの時代が来た時にいつでも対応できるようにいったん離れた、それがよかったんだと思いますね。
 私もアリゾナの親戚のうちに行ったりいろいろ世界を見てまわりました。マイクなしでガンガン歌っているメキシコのおばさんの歌を聞いて、自分のやっている音楽は狭いなと感じたり、海外でドキドキする経験をたくさんして。それからは、自分でもまだまだ歌い切れていないぞ、と思って両手を広げてがさがさと手当たり次第に背中のナップサックに歌いたい歌を詰め込んでいく感じ。そうしているうち、服部克久先生や前田憲男先生など、錚々たる作曲家の先生方から声をかけていただく機会に恵まれました。「このジャズの曲は君の声に合うと思うんだ」というふうに、今迄とは違うジャンルに私を引き入れてくださったんです。そして少しずつ曲をいただいて覚えていくうちに、それが10曲になり、気付いたらそれだけでコンサートができるほどになった。こちらからレッスンを受けたいような方々にかわいがっていただいて、育てていただきましたね。

-- 今日のステージでもラテンのリズムやアレンジが多く、ホテルの方々も含めて会場が盛り上がりました。真知子さんはラテンがお似合いですね。
 あらー、ありがとう!(笑) うちは父が公務員、兄が銀行員という平和な危なげのない家庭で、愛情の豊富な温室の中ですくすくと育って生い茂ってこんなに元気になっちゃったの。そんな恵まれた人生のなかで、時代が違う方向を向いてふと寂しい思いをしたり陰りを感じたとき、ラテンを唄ったら心が浮かび上がったんですよね。ラテン音楽というのはその国の方々にとっては特別なだったんだな、と思います。

-- ところで、シンガーソングライターとして20〜30代の頃と、50代以降では曲作りはどのように違ってきていると感じますか?
 20代の頃は、主にラブソングですけど、自分の中で迷ったりしながら感じたことを歌にしていました。でも今は、同じ「愛情」でももっと博愛的なもの、男女をおいといてまず「人」としての想いがある気がします。また、自然から受けるエネルギーを強く感じるようになりました。特に昨今、日本でさまざまな自然災害を目の当たりにして、自然の素晴らしさと残酷さという両面を感じています。そういう意味でも曲作りのスケール感や視点は広がっていると思いますね。

-- 曲作りで心がけていることは何ですか?
 この世界にどっぷりつかってもフラットな目線を忘れないように、人の痛みを感じられるようにということです。シンガーソングライターである以上、万人の気持ちをくみ取って他愛ないことでもそれを作品にすることでみなさんに歌ってみたいという気持ちになっていただけたらいいな、と思っています。私の母は常々「いつまでもかわいがられる人間でいてね」と私に言っていました。自分自身も、思い通りにならない時代、寂しい思いをしたなかで、やさしさがわかってきた気がします。『ときの華』という歌の歌詞に「喜びの華、悲しみの華、百花繚乱」という部分がありますが、人生では両方がなければ両方がひきたたないんです。悲しみだけ取り払っても、人生半分になっちゃう。

-- ステージでも、10年前に亡くなられたそのお母様のことにふれていらっしゃいましたね。
 昔、「グレートマザー物語」という番組のなかで、母が私のことをこんなふうに語ってくれました。「最後まで幸せでいてほしい人」、「アクシデントを踏み台にする人」、それから「頑張れなんて言ったことないです、信じてますから」って。オンエアーの日にたくさんの反響の電話をいただいて、その翌日母は亡くなりました。常々「あんたたちの世話にならない」と言っていた通り、兄や私に介護を一切させませんでした。その9か月後に父も急に亡くなったんです。こんなにも潔ぎよい、納得させてくれる両親の死に様がなければ、今の自分はなかったと思います。


コンサート前日、シカゴ日本語学校補習校を訪問し、歌とおしゃべりで楽しい時間を過ごす。
その場にあった楽器を即席で使って2曲演奏し、集まった約700名の子供たちと共に手拍子足拍子で盛り上がった。
(写真提供:Kamome Music)

-- 声や体力を維持するためにどのようなことをしていますか?
 ダイエットのために「レッグマジック サークル」をやり始めたら、これがインナーマッスルを鍛えるのにすごくいいの。2週間で成果がどんどん出てきて、歌うのがとっても楽になりました。シンガー仲間でも結構やっている人が多いんですよ。健康で気を付けているのは、毎朝アップルと人参のジュースを飲むこと、腹7分目に食べること、運動をすること、の3つを守ること。腹7分目というのが一番難しいんですけどね(笑)


■ シカゴ到着後は、時差ボケや旅疲れもなんのその。シカゴ日本語学校補習校を訪問して子供たちと交流したり、総領事邸で楽しいディナーのひとときをすごしたりとアクティブに行動されたという真知子さん。シカゴ最後の夜は、シカゴ名物「スペアリブ」を食したあと、「Blue Chicago」でド迫力のシカゴ・ブルースを堪能されたとか(ダンスも!)。あふれんばかりのパワーを充填して、この40周年イヤーをご健康でパワフルに過ごされることをシカゴより一同お祈りしています!



       (2017年1月15日   文責・撮影:長野尚子 Text & Photo by Shoko Nagano )


■渡辺真知子さんプロフィール
誕生日 : 10月23日
出身地 : 神奈川県横須賀市
血液型 : B型
趣味 : スキューバダイビング、ガーデニング
愛犬 : ビット(チワワとジャックラッセルテリアのMIX)



「”シンガーソングライター”はテレビに出演して歌わない」という当時の音楽業界の常識を覆して積極的に歌番組に登場する。
「迷い道」・「かもめが翔んだ日」・「ブルー」・「唇よ、熱く君を語れ」など日本のポップス・シーンに残る数々のヒット曲を送り出し、印象的な歌詩と心に残るメロディー、そして深いエモーションをたたえた抜群の歌唱力で一躍人気アーティストの仲間入りを果たす。
日本レコード大賞最優秀新人賞、他音楽祭12賞受賞。
パワフルな歌唱は現在も勢いをそのままに、 メロウ・ソフト・シャープ・ストロングと自由自在に声を操るボーカルは圧巻。 デビューの頃よりコンサート活動を精力的に続けており、 その内容はオリジナルはもちろんのことジャズ・ラテン・ロック・クラシック… などスタンダードナンバーを斬新なアレンジで展開している。
近年ではそのライブパフォーマンスが評価され、ブラジル、キューバの日本人移民100周年式典など海外で歌う機会も 多い。2011年には日ロ友好イベントとしてロシア・サンクトペテルブルグにて地元のオーケストラと共演し、 翌2012年にはロシア大使館でのサマージャズコンサートに出演。
また創作活動も意欲的で、2010年以降、周年アルバム含むCDを4枚、コンサートDVD1枚を制作。
ジャンルにとらわれない幅の広さ、大人ならではの表現力で ” 今 ”を歌うオンリーワンのアーティストである。
2016年10月5日、シングル「ときの華」をリリース。

● オフィシャルホームページ: http://kamome-music.com
● オフィシャルブログ : http://machiko-watanabe.cocolog-nifty.com/



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