東日本大震災ドキュメンタリー映画『東北友』(TOHOKUTOMO)プレミア上映会 


 2014年3月12日。東日本大震災から3年を迎えたこの日、シカゴ市内で、映画『東北友』(TOHOKUTOMO)のプレミア上映会が行われた。震災直後の被災地で、言葉の壁を越えて被災者と寄り添った外国人ボランティアたちへのインタビューを克明に綴ったドキュメンタリー映画だ。


 “I AM TOHOKU TOMO.”(私は“東北の友”)― スクリーンに次々と映し出される顔が代わる代わる語りかけ、この映画は始まる。この作品を制作・監督したのは、在シカゴ日本国領事館メディア・リレーションズ・コーディネーターのウェスリー・ジュリアンさん。実は、ジュリアンさんと東北とは強い運命の糸で結ばれている。
 
 2008年から2年間、彼はJETプログラム(The Japan Exchange and Teaching Programme : 語学指導等を行う外国青年招致事業)の一員として宮城県大郷(おおさと)町の中学校で英語指導教師をしていた。任期を終えてアメリカで学位を取得した彼は、2011年の春休みを利用して元教え子たちの卒業式を見届けようと、再び懐かしい大郷を訪れた。 3月11日のことだった。
 教え子との喜びの再会もつかの間、その数時間後には惨状と化した第二の故郷を目の当たりにすることになろうとは知る由もなかった。ウェスリーさんは当時をこう振り返る。
 「初めて足を踏み入れたその日から、東北は私にとって特別な場所になっていました。地元の方々はとても温かく、私をすぐに地域の一員として受け入れてくださいました。その愛する東北のために、とにかく何かをしたい、しなければ、ということしか頭にありませんでした」

 彼自身もまた、震災で大切な友を失くした。その悲しみの中、震災後は我を忘れてしばらく現地でボランティア活動に奔走した。アメリカに戻り現職に就いたが、いつも胸には「東北」への想いがあった。仕事の傍ら“Tohokutomo.com”という支援サイトを立ち上げ、100万円近い義捐金も集めた。

 震災から2年後の2013年3月、震災を人々の記憶にとどめておこうとドキュメンタリー映画『東北友』の製作にとりかかった。「震災直後、日本国内外から何千、何万人というボランティアが駆けつけて懸命に救援活動を行っているのを見たことが、この映画を作る大きなきっかけになりました」
 主に海外からの支援団体やボランティアたちを訪ね、当時の体験を語ってもらった。子供たちとスポーツを通じて交流したスポーツインストラクター、JETプログラムで東北各地に派遣されていた外人教師たち、各地で支援ライブを行ったミュージシャン・・・みな、何かをしなければとの想いに突き動かされ、言葉の壁を越え被災地の人たちに寄り添い心を通わせた人たちだった。 
 「震災から時間が経ち、街や建物の再建は進んでいますが人々の心の傷は簡単に癒えるものではありません。時が経った今こそ、被災者の方々のRebuild the spirit(心を立て直すこと)のお手伝いをすることが大切です。“私たちは決してあなたたちを忘れてはいませんよ”というメッセージを発していきたいのです」 だから今、この映画を少しでも多くの人に見てもらいたい、とウェスリーさんは言う。

 上映当日はあいにくの大雪。にもかかわらず約250人もの人たちが、会場のアドラー・プラネタリウムに詰めかけた。上映後は質疑応答セッションも設けられ、ウェスリーさんら製作スタッフが震災当時の様子や東北の魅力、また異文化を理解し、溶け込もうとする姿勢の大切さなどについて熱く語った。

(左) 質疑応答で東北の思い出を語るウェスリーさん
(右) 上映後、「I AM TOHOKU TOMO」と書かれたパネルとともに記念撮影する人たち。写真はFacebookに掲載、発信されている。

 
 “THE BEST WAY TO NOT FEEL HOPELESS IS TO GET UP AND DO SOMETHING”(希望を失わない一番の方法は、立ち上がって何かをすること)― 『東北友』のキャッチコピーだ。3年が経った今こそ、“復興”から“継続サポート”のフェーズへと移行が必要なとき。私たちにできる最大のサポートは、東北の魅力を活用して何らかの一対一の関係性を築き、さらにその輪を広げていくことだろう。あなたの地域で、職場で、学校で、この映画を上映する機会を作り、一人でも多くの“I AM TOHOKU TOMO”を作っていくことも、その一歩となるに違いない。
 「アメリカ国内各地の学校や企業・団体などでも上映希望を受け付けています。作業が整い次第、今年中には日本でも上映できればと思っています」(ウェスリーさん)
 東北を思う心がひとつになり、3年目の春が動き始めた。


■ 『東北友 (TOHOKUTOMO)』 
Wesley Julian - Director & Producer
Daniel Martin - Associate Producer & Translation
Elizabeth Gordon - Associate Producer & Screenwriter
Philip Holbrook - Director of Photography
Tim Schraeder - Design & Marketing
Overcoast Music LLC - Music & Sound Design

■ 『東北友』Webサイト:http://tohokutomo.com/
         Facebook:Tohoku Tomo 東北友

■ 本サイトにおける東日本大震災関連の過去の記事
「シカゴから日本へ届け。日本救済・応援の輪」 (2011年4月)
http://www.usshimbun.com/interview/interview-JapanEarthquakeTsunamiRelief.html

「シカゴ・ブルース・ミュージシャンたちが日本に捧げる、渾身の応援・鎮魂ブルース(Pray For Japan. Play For Japan)」 (2011年6月)
http://www.usshimbun.com/column/shoko12.html

「あの日を忘れない。〜大震災1周年メモリアル写真展(2012年3月)」
http://www.usshimbun.com/interview/interview-3.11.htm



                      (文責/撮影 :長野尚子 Text by Shoko Nagano)


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