涙と感動の15日間。「第49回シカゴ国際映画祭」
(10.10-10.24.2013)


 「第49回シカゴ国際映画祭」が、10月24日に15日間の幕を閉じた。 これまでの長い歴史の中で、マーティン・スコセッシ、テイラー・ハックフォード(『愛と青春の旅立ち』、『Ray』)、などの映画界の草分け的な名監督を発掘してきた同映画祭だが、今年は60カ国からいずれもシカゴで初公開となる180作品(長編映画115作、ドキュメンタリー20作、短編映画55作)が一つの劇場で上映され、期間中5万人以上の映画ファンが訪れた。


 18日には、コンペティション作品の受賞作品の発表・表彰式が行われ、以下の作品が各部門において最高賞であるゴールド・ヒューゴ賞を受賞した。


★インターナショナルコンペティション部門





「Will You Still Love Me Tomorrow? (台湾) 」 
 監督: Arvin Chen
 
★ニューディレクターズ・コンペティション部門
 「La Jaula De Oro (メキシコ)」  監督: Diego Quemada-Diez

★ドキュメンタリー部門
 「Trucker and The Fox (イラン)」  監督: Arash Lahooti

★アフターダーク・コンペティション部門(ホラー映画)
 「Cheap Thrills (USA)」  監督: E. L. Katz

★短編ライブアクション部門
 「Misterio (スペイン)」  監督: Chema Garcia Ibarra

★短編ドキュメンタリー部門 
 「 Dream Girl (スイス)」(シルバー・ヒューゴ賞) 監督: Oliver Schwarz

★短編アニメーション部門 
 「Yellow Fever (ケニア/イギリス」(シルバー・ヒューゴ賞) 監督: Ng’endo Mukii


 また、今年から新たに「Q ヒューゴ賞」(LGBT:レズビアン/Lesbian、ゲイ/Gay、バイセクシュアル/Bisexuality、トランスジェンダー/Transgender、及び性に関するトピックを扱ったコンペティション作品に与えられる賞)が設けられ、以下の作品が栄えある第1回の受賞作品となった。

★ゴールドQヒューゴ賞
「Will You Still Love Me Tomorrow? (台湾) 」 
 監督: Arvin Chen


日本からの参加映画、『そして父になる』 (“Like Father Like Son”)
公式サイト:http://soshitechichininaru.gaga.ne.jp

 すでに海外各映画祭でも高い評価を得ており、第66回カンヌ映画祭で審査員賞を受賞した同作品が、満を持してのシカゴ初公開。 『誰も知らない』『歩いても 歩いても』など、これまでに様々な家族模様を描いてきた是枝監督が“父親”に焦点をあてた本作は、その前評判の高さも手伝って10月16日と19日の上映はすべてがソールドアウトとなった。
  
その後、観客からの熱烈なアンコール&リクエストに主催者側が応えた「Best Of The Fest」の作品の一つとして、10月23日に急きょ再度上映が決定された。6時からの上演時間を前に、会場ではすでに大勢の人たちが列を作っていた。この人たちは数ある映画の中からなぜ今夜この作品を選んで見に来たのだろうか?並んでいる人たちに聞いてみた。 

 「作品の紹介を読んで、何かが私に強く訴えかけたのです」(40代女性)
 「とってもいい映画だといううわさを、多くの人づてに聞いたから」(30代男性)
 「この映画祭ではいろんな国の作品をもう10本以上見ているけれど、この映画は友人から素晴らしいと聞いていた。先週入れなかったから今日は絶対のがしたくなかった。ハートブレーキングな(切ない)映画だって聞いているけど・・楽しみだね」

 上映中は、アメリカらしい「反応」が各所に見られた。(アメリカの映画館はポップコーンをむさぼる音もうるさいが、人々が笑ったり歓声あげたりと騒がしいのが常) 息子が本当の我が子ではないことを知った父親(福山)が、「やっぱりそうか・・」とつぶやくシーン。ここでは何故か一斉にちょっとした笑いが起こった。また、一人で見に来ていた前列のご年配の御仁は、終始鼻をすすりあげて涙をぬぐっていた。

 終演後。館から出てきた人たちに感想を聞いてみた。

 「・・・僕は大好きだな、この映画。エンディングもパーフェクト。これ以上加えることはできないと思うよ。まぁ、10年後も見てみたい気もするけど。子供たちがまたすばらしかった。どちらの選択が彼らの将来にとってベターなのかなんて答えはないんだと思う。日本の文化も感じることができて、エクセレントだった」(隣の席に座って感無量で天を仰いでいた、ビーテクさん・30代ポーランド人男性)

 「今回見た中で、最も素晴らしい映画のひとつだと思うわ。先週(通常スケジュールで)見ることができなくて、今日はどうしても見たかったの。スピルバーグがリメイクして台無しにしてしまう前にね。だってとてもこれをリメイクできるなんて考えられないもの。リメイク版?絶対見に行かないわよ(笑)」(スザンヌさん・50代女性)

「この映画を見た多くの友人がみな強く勧めてくれたの。絶対見逃しちゃだめよってね。エンディングもとてもよかった。それに、子供たち(の演技)は本当に信じられないくらい素晴らしかったわ」(シーラさん・50代女性)

 「非常に美しく、また素晴らしい“味付け”をされた映画だった。物語の進行もうまいね。見る側はこのストーリーにそれぞれ違った意見を持っていただろうけど、それに対してこの映画は僕たちの予想とはまた違う方向へとどんどん進んでいって、僕らもその中でまた考えが揺れ動いていく。そこがよかったね」(ライスさん・30代男性)

 「私は母親たちの目をずっと見ていたわ(・・と涙ぐむ)。彼女たちはとても悲しかったはず。けれどエンディングはハッピーだった。二組の家族がお互い感謝し合うことができたもの。まったく違った父親像や子供の育て方を通して、日本のカルチャーも少し理解できたわ。(福山演じる)父親像は、典型的な日本の父親像だったと思うし、もう片方(リリー・フランキー)は、もっとおおらかで。そのコントラストがとても面白かったわ」(ライスさんの母親、ビバリーさん・60代女性)


2014年、第50回記念に向けて


 大成功のうちに幕を閉じた今年の映画祭の閉会にあたり、本映画祭の創設者でアート・デレクターを務めるMichael Kutza氏はこう語る。
 「私たちはこの49年間、映画監督のための映画祭を開催し続け、また映画の新しい“声”を発見し続けられたことを誇りに思います。そして今年も、その誇りは今までと何ら変わることはなかった。プログラムもこれまでの歴史の中でも最強だったといえるでしょう」

 「今年の映画祭では、いずれも大変素晴らしく、感動的で優れた作品が揃い、2014年の記念すべき50周年となる当映画祭をさらに期待させるものとなりました」
 今映画祭のプログラミング・ディレクター、Mimi Plauche氏はこのように加え、今映画祭を締めくくった。

 2014年、「第50回シカゴ国際映画祭」は、10月9日から23日までの開催予定だ。


■本映画祭の詳しい情報は、
シカゴ国際映画祭り公式HP: www.chicagofilmfestival.com
または、Facebook (www.facebook.com/chicagofilmfestival)をご覧ください。




                      (文責:長野尚子 Text by Shoko Naganoo )

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