なつきピアッツァ先生講演会 〜ニ言語で子どもを育てるには〜
                              
取材・記事 : 小川美由紀

なつき ピアッッア先生 プロフィール

 ウィスコンシン大学マディソン校で心理学の学士号、教育心理学の修士号を取得後、シカゴにあるロヨラ大学でスクールサイコロジー博士課程を経て、バイリンガル認定のあるイリノイ州公認スクールサイコロジストになる。
 
 現在、公立特殊教育機関の所属。障害をもつ子の教育プログラムの監督や指導、私立学校に通う子ども達の心理査定もする。アメリカの授業についていくのに苦労している幼稚園から高校生までに勉強を教える教員、バイリンガルテューターの経験もあり。

●特別リポート

 聖マタイ日本語幼稚園・日本語わくわく広場主催
なつきピアッツァ先生講演会 〜ニ言語で子どもを育てるには〜
バイリンガル環境における子どもの言語発達
真のバイリンガル教育を目指して

 3月11日、シカゴ郊外に在る「聖マタイ日本語幼稚園」にて、二ヶ国語教育に詳しいなつきピアッツァ先生による講演会が行われた。当日はバイリンガル子育てに奮闘中の父兄らが多数参加し、各家庭それぞれの抱えている疑問や悩みを解決するきっかけを模索していた。 講演の内容で特に重要と思われる点をまとめたので、二ヶ国語教育に興味のある方は参考にして欲しい。

●現地校に通わせれば、バイリンガルになる?二ヶ国語教育にまつわる様々な誤解

 ピアッツァ先生によると、アメリカに暮らす多くの日本人家庭では「バイリンガル」の定義そのものを見直す必要があるという。 レストランのメニューを読める程度の英語力、日常会話に困らない程度の英語力から学士レベルの論文を書けるほどの高度な英語力までピンからキリまであるが、二ヶ国語を操るという観点でみれば「全てバイリンガル」だからだという。

 どの程度の英語を習得させ、どのように日本語をキープさせるかというプランを家庭でとことん練り、それを示してやることで、子供の将来はより豊かなものになるという。 そのプランは家庭の駐在期間や家族の形態、子供の年齢や現時点での言語レベルによってまちまちである。単純に「現地校に数年通えば英語はペラペラになる」と軽く考えていると、将来的に色々な障害が出る事になるのだという。 逆に言えば、現地校に行かなくても“バイリンガル”になる事は可能であるし、まずは二ヶ国語教育においての様々な憶測と偏見を取り払う必要性がある。

子供は本当に言語習得が早いのか?

 「子供は必ずしも言語習得が早いわけではない」とピアッツァ先生は指摘する。

 大人と違い、子供に期待されるコミュニケーション能力というのは低い。 つまり、大人同士が政治経済や社会情勢など複雑な話題をしがちなのに対し、子供同士のコミュニケーションというのは「遊び」が中心で、複雑な言語能力が必要とされない。 その点に気がつかない親が、自分の子がアメリカ人の子供とコミュニケーションしているのを見て「英語がペラペラなんだ」と勘違いするケースが多いという。

 そこで安心し、子供の英語をサポートするためのESLやテューターを止めてしまうと、将来的に学習に必要な英語力に問題がでてくるという。 また、幼い時期にいきなり英語だけの環境に変えてしまうと、それまでせっかく育っていた日本語能力が全て失われ、語学力云々ではなく「理解力」が育たぬまま学校に通うことになり、多くの可能性を潰してしまう最悪の場合になる事もあるという。 

 間違ったバイリンガル教育は、精神的な面でも子供に多大な影響を与えている。 能力はあるのに中途半端な語学力のため自信が持てずに苦しむ子供や、思春期になり、英語が母国語でない親とのコミュニケーションに障害がでてきて反抗する子供など、複雑な問題を引き起こす場合もある。

 それを避けるためには、子供の語学力・理解力を把握し、それに合った教育の機会を与えてやる事が必要だという。


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