SHOKOのシカゴ郊外の町から


著者略歴 長野尚子

イリノイ州在住フリーライター。
2001年、大手出版社の制作ディレクターを退職後、単身アメリカへ留学。
その後帰国し子育て関連誌の編集者を経て、結婚を機に 2006年3月より再びカリフォルニア州バークレー市へ。
主に教育・子育て、国際文化交流をテーマに人脈を広げながら執筆活動中。
2007年10月より、研究者である夫の仕事の関係でシカゴ郊外に移る。
趣味・特技はJazz(ピアノ&ヴォーカル)、剣道(四段)。好きなことは食べることと飲むこと。
バークレーでの3年間の留学生活を綴った「たのもう、アメリカ。」(近代文芸社)発売中。


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          シカゴに上陸!話題のミュージカル“Billy Elliot


 
2005年にロンドンで初演ロングランを記録した大ヒットミュージカル“Billy Elliot”が、今年3月シカゴに上陸、今大きな反響を呼んでいます。2000年にヒットした同タイトルの映画(邦題は『リトル・ダンサー』)を舞台化したもので、オリジナル映画と同じくリー・ホールが脚本(と作詞)を、スティーブン・ダルドリーが演出、ピーター・ダーリングが振り付けを担当し、さらにあのエルトン・ジョンが作曲という最強のスタッフの手によるミュージカル。アメリカ初演となったNYブロードウェー公演ではたちまち“最もチケット入手が難しい作品”となり、2009年の第63回トニー賞では最優秀作品賞など主要10部門を獲得しました。

  ストーリーの舞台は1984年、イギリス政府の炭鉱閉鎖政策に揺れるイングランド北部の小さな炭鉱の町ダーラム。ビリー少年は、政府に対抗してストライキに参加している炭鉱労働者の父と兄、祖母と4人暮らし。ある日、父に無理やり習わされているボクシングの練習リングの隣で行われているバレエ教室に目を奪われ、その魅力に惹かれます。家族に内緒で少女たちに一人交じってバレエレッスンを受け始めるビリー。その類まれな才能に気づいたバレエ教室のウィルキンソン先生は、彼にロンドンの名門ロイヤルバレエスクールの入学オーディションを 受けるように勧めるのですが・・・。 

 映画版の大ファンだった私も先日、シカゴ・オリエンタルシアターで上演中の『Billy Elliot』を観てきましたが、今まで見たミュージカルの中でも一番といえる、期待を裏切らない素晴らしい作品でした。なんと言っても圧巻だったのがビリーの存在力。休憩15分をはさんで3時間という長丁場をほぼ出ずっぱりで演じ、歌い、踊りきるパワーに、ぐいぐい引き込まれていきました。

 シカゴ公演でこのビリーを交代で演じているのは、フロリダ出身のTommy Batchelorくん(14)、スイス出身のGiuseppe Bausilioくん(12)、キューバ系メキシコ人のCesar Corralesくん(13)、カリフォルニア出身でアジア系のJ.P.Vierners(13)くんの4人。私が見たのはCesarくんによるビリーでしたが(ちなみに配役は当日まで明かされないそうです)、彼のダンスはまさに魂の踊り。踊ることが大好き、踊りで自己を表現したいというビリーの想いを見事に体現していました。終盤で踊る“白鳥の湖”の崇高なまでの美しさにはただ、ため息と涙が・・・。もちろん、ビリーの父親やウィルキンソン先生、親友マイケルなど脇を固める役者陣もみな見ごたえのある演技を見せてくれます。映画では味わえない劇場ならではの幻想的な演出や、カーテンコールでのジョーク(?)が一層ミュージカル気分を盛り上げてくれ、シアターを出るときには心が浄化されたようなすがすがしい気分でした。 


オリエンタルシアターは、シカゴ・シアターディストリクトの中心にあって、電車(メトラ)の駅からも徒歩圏内 

 さて、先日(4月11日)、ちょうどコンサートでシカゴを訪れていたエルトン・ジョンが公演の合間を縫って『Billy Elliot』の観劇に訪れるというサプライズがありました。ラストのカーテンコールでは、出演者に交じってこれまた驚きのコスチュームで観客を沸かせたようです。

  『Billy Elliot』がここまで人々の心をつかむ理由を聞かれたエルトンは、「なりたい自分に向かって恐れずに進む人間の姿を描いているからだと思う。たとえそれが社会の“常識”から遠くはなれたものであってもね」と語っています。「音楽の道を進もうとして父に大反対された僕にとって、ビリーは僕そのもの。父は僕の成功を知らずにこの世を去ってしまったけれど。もう何十回、何百回と見ているのに、今でもこの作品はやはり涙なしでは見られないね」 

 現在、ロンドン、ニューヨーク、シカゴと世界3か所でしか見られないこの『Billy Elliot』。シカゴにお住まいの方、シカゴにいらっしゃる方は是非、シアターに足を運んでみてはいかがでしょうか。映画を見てから劇場版を見ると、より内容が理解しやすくて楽しめますよ。 

※ 詳しい公演スケジュールやチケット予約は以下で。
 オンライン: http://www.broadwayinchicago.com/
ボックスオフィス電話:800-775-2000 

* ワンポイント情報
Billyがラストシーンで使う“花道”は、ステージに向かって左手通路になりますので、センター左側の席がお勧めです。 

『Billy Elliot The Musical』 オフィシャルサイト
http://www.billyelliotthemusical.com/


      
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