サリーのシカゴ見聞録 



著者略歴 サリー

 はじめまして。サリーと申します。シカゴに引っ越して2年、2歳児を抱えて日々生活にあえいでいるまもなく三十路を迎える主婦です。シカゴ市内南部より日々思ったことなどを気楽に読んでいただけるタッチで書いていけたらと思うのでよろしくお願いします。



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         赤ずきんちゃん本当に怖いのは人間?

 最近、近所であったヤードセールに行ったところ、子供向けの英語の絵本がたくさん出ていた。特に買うつもりはなかったんだけど、同じブースで気に入ったズボンがあったので、それを買ったところ、お釣りが無いからこの中から好きなのを選んでくれってまったく持ってアメリカの人らしいアバウトな答えが返ってきたものだからとりあえず商品をあさって見ると、「あかずきんちゃん」の英語バージョンがあった。

 絵が飛び出てくる細工もしてあるし、昨年、うちの娘はおじいちゃんから日本語版の「あかずきんちゃん」をもらっていたので、英語を覚えるうえでも知ってる話なら分かりやすいかなと思い、これを頂いて帰ることにした。

 ところが、家に帰って中身を読んで見ると、アメリカの「あかずきんちゃん」はじぇんじぇん中身がちがっていた。本が小さくてページ数が少ないから大まかな流れだけ書いて、あとははしょってるって言うのはわかるんだけど、なんか違う感じがした。私の買った英語のストーリーは大まかに説明すると、

 お母さんはあかずきんにおばあさんのところにお使いに行くように頼む。この時に知らない人に声をかけられても決して話しちゃだめよと念を押す。しかし、道で花をつんでいたあかずきんちゃんは狼に声をかけられておばあさんの所へお使いに行くことを話してしまう。狼が先回りしておばあさんの家に着くが、おばあさんは狼に食べられない。狼がおばあさんの服を着てベッドに入って待っていると、あかずきんちゃんが来て、お約束のセリフを言って、悲鳴をあげる。その声に気づいたきこりのおじさんがおばあさんの家にやってきて、狼はにげてしまう。しめくくりは知らない人とお話しするとこんなに怖い目になってしまうのよ。気をつけましょうね。という感じで終わる。

 知らない人とはお話しをしてはいけないという忠告だけが抜き取られて拡張された感じ。日本のあかずきんちゃんはちゃんとおばあさんは食べられるし、あかずきんもたべられるし、助けに来るのはきこりじゃなくて猟師だ。そんでもって狼はおなかを切られ、食べられたはずの二人が助かり、代わりに石を狼のおなかに詰めて狼を殺すってことになっている。やっぱりアメリカじゃ殺人シーンとかは子どもに良くないってことかな。そういうのやけに過剰反応するお国柄だし、狼が殺されちゃうのも、もしかして動物愛護団体とかから苦情がきちゃうのか?とかなんとか思ってみた。

 で、どっちが本当のお話か、気になったので調べてみると、「あかずきんちゃん」てものすごく研究されてる本だってことを知った。たしかに、昔、大人のための童話とかいろんな本が出て、一時期、話題になってたなーなんてかすかな記憶もよみがえりつつ、ネットで見てみると、元々はおばあさんもあかずきんちゃんも食べられっぱなしで生き返らないってのもでてきた。ある偉い学者さんによると、これは、当時の人がいかに自然を恐れ、敬っていたかを象徴してるんだって感じで書かれてた。なるほど。でも、そうなると、このアメリカバージョンは、自然の荒波のなかでもなんとか人間は生きていけるようになったけど、一番怖いのは実は人間(原作では狼人間ってことになっているので)だったってことを象徴しているんだろうか。でも、助けてくれたのも人間だ。

 もう一つの説では狼は男で赤い頭巾は月経の象徴だから、女の子に男の人には気をつけろ!ってことを忠告しているのだというのもあった。また、赤い頭巾は太陽、光で、狼は闇を表していて、光を飲み込む闇を象徴した宗教的な物語なのだなんて説もあった。

 子どもにおなじみの「あかずきんちゃん」がこんなに深いなんて考えたこと無かったけど、世の中、意外と単純なことのほうがよくよく考えて見ると難しかったりする。人間も単純なようで難しいし。確かに、人間って怖いときもあるもんな。そんなことを思う秋の一日でありました。


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