元子さんのインディアン・ジャーニー



著者略歴 元子さん

2001年よりシカゴ西部の郊外在住。

 学生時代より持ち続けた南米のインディオ文化への興味が、アメリカ移住とともに北米インディアンへ移行中。

 米系企業でマネジャーとして働きつつ、休暇とくれば居住地巡りにアートマーケットでインディアングッズ物色、が目下の楽しみ。将来は居留地の近くに住み、リトリートを経営するのが夢。
 
 アメリカン・インディアン文化を、アメリカで普通に生活する日本人として紹介したいと思います。


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                   揚げパン大好き


 4月から10月にかけて行われるインディアンのお祭り、パウワウ(Pow Wow)。 簡単に言えば日本の夏祭りのようなものです。 この期間中は、毎週アメリカのどこかでパウワウが開催されていると言ってもいいぐらい。 インターネットで検索しても、100年以上続いている伝統的なパウワウから、ネイティブ・アメリカン文化の啓蒙のために始まったような比較的新しいパウワウまでいっぱい見つかります。

 日本の夏祭りでも、お祭りに行けば必ず食べるもの、またはそのお祭りの名物料理がありますよね。(イカの姿焼きに焼きとうもろこし?) パウワウ名物は何と言っても「インディアン・タコ」(Indian Taco)。 サウス・ウェストのインディアン名物のこの料理、今ではどこのインディアン・コミュニティーでも食べられている皆の大好物です。

 このインディアン・タコ、見かけはメキシコ料理のタコスとよく似ているけれど、違いは具がのっている生地。 フライ・ブレッド(Fry Bread)と呼ばれ、つまり揚げパンです。 もちろん、単品でも食べられます。 一見、インド料理に出てくるナンに似ているけれど、ナンほどパンぽくなくて、薄く甘味のある生地から噛むと油がジワッと染み出てくる、どちらかと言えば、中華の朝食の定番「油條」に近い歯ごたえ。 しっとり系のパンやドーナツが好きな日本人には絶対に受けると思うのです。

 Pow Wowの会場で、ズラッと並ぶ屋台の中から人だかり出来ている店を探せば、そこが大抵インディアン・タコの店です。値段は$5ぐらいで、1枚食べれば結構お腹にドッシリ来ます。

 私はこのインディアン・タコも好きだけど、マトンのスープやバッファローのスープも好きです。豆やコーンと一緒に肉を煮込んだシチューをこの揚げパンと食べると、何とも幸せ!な気分になる私です。

 さて、このフライ・ブレッドは本来インディアンの食生活には存在しなかったものなのです。その始まりの背景には、その他の多くのインディアン文化と同じく、当時のアメリカ政府に虐げられてきたインディアンの悲しい歴史があるのです。

 19世紀半ば、当時のアメリカ政府の強制移住政策により、ニュー・メキシコ州のフォート・サマー(Fort Summer)に強制収容された約8,000人のナバホ(Navajo)族の人々に与えられたのが小麦粉とラード。 家畜を殺され、飲料水の源の井戸に毒を入れられ、畑や家屋は焼き討ちにあい、何千人というインディアンが約500kmという収容所への道のりを歩かされ、飢えた彼らに与えられたのがそれのみだったのです。

 当時のインディアンの食生活に「揚げる」という習慣はありませんでした。 しかし、与えられた食材から生き伸びるために考え出された主食の代替となるもの、それがフライ・ブレッドであり、今やそれはインディアンの食生活の中では欠かせないものになっているのです。

 ちなみに、最近ではこのフライ・ブレッドがインディアンの人達の肥満や糖尿病の原因の一つであるとして(そりゃそうですよね。アレだけの脂を含んだ揚げパンを毎日食べていたら・・・・。)、議論がかもし出されています。 悲しい歴史から始まったとはいえ、すっかりインディアンの人々間では、定着したフライ・ブレッド。 「それじゃぁ、サンクスギビングに七面鳥を食べるな、って言うのと同じじゃないか!」と熱い論議が飛び交っています。 でも、私個人的には、フライ・ブレッドもそうかもしれないけれど、マクドナルドやバーガー・キングのフライドポテトにも十分責任はあると思うのですが。



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