MASAさんの健康と医療関連トピック



著者略歴 
MASAこと、Dr.松下順彦DC,LCP


1962年、大阪生まれ、44歳。 職業は、カイロプラクティック医師。 明治東洋医学院卒: 鍼灸師免許、柔道整復師免許を所持。 大阪府枚方市で松下鍼灸整骨院を開業、10年以上の臨床経験 を持つ。

 パーマー大学卒: ドクター・オブ・カイロプラクティック学位 (DC)、カイロプラクティック哲学称号(LCP)を取得。
イリノイ州免許( Licensed Chiropractic Physician )を所持。

 2005年3月から、シカゴ郊外アーリントンハイツのACE CHIROPRACTIC CLINIC の院長。 脊柱解剖学II解剖実習参考書を著作、代替医療専門誌「医道の 日本」「マニピュレーション」「カイロタイムズ」に論文寄稿 。「カイロプラクティックのこころ」翻訳協力。「ジャングル 」「シカゴ新報」など日系紙に健康コラム執筆。 国際日本人DC倶楽部(IJDC)の会長として、正しいカイロプラ クティックの普及・啓蒙活動に精力を傾注している。

                第9回 うつ病の上手な対処法


 今年のシカゴの冬は厳しいですね。雪が降り積もり、寒く、どんよりとした灰色の空は、気分を暗くさせるには十分なものです。統計でも、うつ病患者や自殺者はスェーデン、フィンランド、ハンガリーなどの寒い北欧の国で多く、また11月から3月にうつ病の発症が多いことからも、うつ病と冷え・寒さが関係していると言えるでしょう。

 しかも祖国日本を離れて暮らす日本人には、言葉の壁、差別、異文化、環境の違いなど様々なストレスがあり、家族、友人、親しい隣人などと離れて暮らす寂しさなどもあって「うつ病」になり易い状況です。そこで今回は、うつ病を予防し、また軽減させる安全で効果的な対処法の紹介です。

  1. 日光を浴びる: 太陽の光を浴びることは、体内でのプロビタミンDの合成に欠かせないように、体には必要なことです。西洋では「太陽が顔を出すと医者が引っ込む」という諺がある程です。女性は日焼けやしみ、そばかすの原因になると嫌う方も多いですが、1日に10〜15分程度は日光浴をすると良いでしょう。冬は外に出なくても、南向きの窓辺で日光浴をしても結構です。
  2. 悩み事は家族と分かち合う: 悩み事や心配事を一人で抱え込むのは危険です。無理せずに家族と相談して、一緒に解決法を考えてもらいましょう。人に話す事で気分も軽くなりますし、違った視線から解決法が見つかる事もあります。家族の協力がなにより強い味方です。
  3. 大声で笑う: 笑う、感動する、というようなポジティブな感情は、うつ病を防いだり、軽減したりするのに大変重要です。家に引き篭もらずに外に出て、友人達と会話を楽しむ、或いは、恋愛映画やドラマ、お笑い番組などを一緒に観るのも良いでしょう。
  4. 運動をする: 運動をして体を動かすことが、抗うつ剤などの薬物療法と同等か、それ以上の効果がある事が最近の研究でわかっています。筆者は、子供からお年寄りまで安全かつ効果的に全身運動が出来る「その場足踏み運動を、ミニチュア・トランポリンを用いて行う」ことをお勧めします。ミニチュア・トランポリンは、直径4フィート位のトランポリンです。スポーツ用品店で$30位で購入出来ます。弾力性のあるトランポリンの上で足踏み運動をすると、下半身のリンパの流れが改善し、バランスをとる為に全身の筋肉を使いますし、筋力も付いて来ます。テレビの見える場所に置いて、お笑い番組のDVDなどを見ながら運動すれば、退屈せず続けて出来るでしょう。その場所の日当たりがよければ、日光浴、運動、笑いの一石三鳥です。
  5. 食事: 精神を安定させる脳内物質のセロトニンを作るには、トリプトファン、ビタミンB群(特にB6)、鉄分が必要です。サプリメントではなく、自然の食材で摂取しましょう。トリプトファンを多く含む食材は:大豆、卵、乳製品、バナナなどです。ビタミンB6を多く含む食材は:酵母、胚芽、豆類、緑黄色野菜、バナナ、魚肉、牛乳などです。鉄分を多く含む食材は:玄米、胚芽、海藻、魚介類、ゴマ、ホウレンソウ、大根、小豆などです。シソやショウガ、レンコン、朝鮮人参、ローヤルゼリー、ドクダミ茶もうつ病によいと言われています。
  6. 体を温める: 冒頭でも述べたように、うつ病と寒さ・冷えは深い関係にあります。従って、体を温める事は非常に重要です。足湯や半身浴をして体を中まで温めましょう。
  7. 姿勢を正しくする: うつ病の兆候の一つに猫背などの姿勢の悪さがあります。しかし、逆に姿勢が悪いことがうつ病などの病気の原因であることも知られています。頭骸骨の下にある第一頚椎に不整列が起こり神経圧迫が生じると、神経症、精神的不安やノイローゼなどの原因になることもあるので、カイロプラクティックで背骨と神経機能を調整するのが望ましいでしょう。

 漢方では、うつ病には半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)というショウガやシソを主体とした漢方薬を用いますが、長崎大学医学部卒の医師・医学博士の石原結實先生は、「シソの葉加ショウガ湯」を1日3回飲むことを勧めています。これは、青ジソの葉3枚を火であぶり、パリパリになった葉を手でもんで湯のみ茶碗に入れ、摩り下ろしたショウガの汁を約10滴加え、湯のみ茶碗半分まで熱湯を入れて飲むものです。

 東邦大学医学部卒の医師・医学博士の松原英多先生は、軽度のうつ病には、チョコレートによる栄養補給、緑茶のカフェインによるリフレッシュと、「深呼吸」「足踏み」「大声での怒声」によってアドレナリン分泌を促し、やる気出す方法を勧めています。

 東京医科大学卒の医師・医学博士の森下敬一先生は、「抗うつ剤に頼らない。化学薬剤は体の自然性を害するから、結果的には逆効果となる。向精神薬はもちろん、その他のどんな化学薬剤も、極力避けるべきである。」と述べています。そして、「玄米を主食とし、野菜、海藻、魚介類を副食として、ドクダミ茶などの薬草茶をプラスするのが基本原則である」と勧めています。

 慶應義塾大学医学部卒の医師で、パーマー・カイロプラクティック大学卒のカイロプラクティック医師でもある松久正先生は、「カイロプラクティックには、患者に希望を与える凄いパワーと可能性がある」と、様々な疾患や病気で悩む患者さんにカイロプラクティックを勧めています。

 前述の7項目と、上記の4人の自然医学などの権威である医師達の勧める方法などを参考にして、うつ病を安全かつ効果的に予防しましょう。

 既にうつ病と診断された患者さんは、主治医の先生と相談しながら出来るだけ早期に薬を止められる様に、今回紹介した上記の方法などに加えて、心理カウンセラーなどの専門家を利用したりするとよいでしょう。

 健康は、薬や手術によってもたらされるものではありません。健康は、元々貴方の体の内に備わっているものです。健康が失われた根本原因を見つけて取り除く事が重要であり、薬によって症状を誤魔化したり、悪くなった臓器を手術で切り取っただけでは健康は戻って来ません。そして、病気にならないよう予防する事はもっと大切なのです。


カイロプラクティック・ミニ講座: カイロプラクティックの芸術 1

 カイロプラクティックは、哲学・科学・芸術という三大要素で構成されています。その中で、芸術は患者をケアする為にドクターが修得すべき技術等を指しています。例えば、病気の原因となる「脊椎サブラクセーション」と呼ばれる脊椎不整列を見つける為の触診です。そして、その脊椎サブラクセーションを取り除くためにドクターが行う「アジャストメント」と言われる矯正です。

 これは、正確には「カイロプラクティック・アジャストメント」或いは「スパイナル(脊柱の)・アジャストメント」と呼ばれるものですが、医師が行う「マニピュレーション(徒手操作)」の一種と医学的には認識されています。

 この根拠になるのが、米国の厚生省にあたるDepartment of Health and Human Services (HHS)の裁定です。これは、高齢者に対する医療保険であるメディケアの取り扱いに関して、理学療法士がサブラクセーションを矯正するために脊柱のマニピュレーションをする事を禁じたものです。

 米国の理学療法士は、理学療法博士号を取得している者もいる位に教育レベルが高いのですが、博士号であってもドクター(医師)ではありません。HHSは、「Doctorでなければサブラクセーションを取り除く為の脊柱マニピュレーションをしてはならない」という裁定を下したのです。

 従って、カイロプラクティックのアジャストメント(矯正)は、Doctorレベルの教育を受け、医師免許を受けたカイロプラクティック医師(DC)でなければ、行ってはならないのです。
(参考:米国では、医師(Physician)と呼ばれるドクターは、西洋医学の医師(MD)、オステオパシーの医師(DO)、カイロプラクティックの医師(DC)の3種類となっています。下の図は、カイロプラクティック大学生と医学部学生の教育科目と時間の比較です。カイロプラクティック医師も西洋医学の医師も、ドクターになる為にこんなに勉強しているのです。)

 この裁定から、「カイロプラクティックは、Doctorであるカイロプラクティック医師(DC)が行うもの」である事が分かりましたが、逆に言えば、「ドクターでない医療従事者らが行うことが認められている療法等はカイロプラクティックではない」と言えることになります。

 カイロプラクティック大学では、州毎に違う法律や要求に対応するために、理学療法などの教育も提供しています。筆者が卒業したパーマー大学でも、カイロプラクティックのテクニックは、HIO、ディバーシファイド、ガンステッド、トムソン、四肢のテクニックが必須科目でしたが、カイロプラクティックではない理学療法やSOT、アクチベーターなどは選択科目として学びたい学生が受講できるようになっていました。

 理学療法は、西洋医学の一部であり、医師ではなく医療補助職である理学療法士がその業務につく事が許されています。これは常識ですね。

 では、SOTはどうでしょうか?

 国際仙骨後頭骨研究学会(SORSI)によると、「SOTとは、Sacro Occipital Technique を略したもので、Sacroとは仙骨に関する、Occipitalとは後頭骨に関するという意味で、仙骨後頭骨テクニックと呼ばれる療法」とされています。

 カイロプラクティック業界には、メジャー B. ディジャネット DO, DCというオステオパシーを学んだ後に、カイロプラクティック界に入って来たオステオパシー医師(DO)が持ち込みました。

 カイロプラクティック医師(DC)の一部には、このSOTを治療に用いる者もおり、SOTはカイロプラクティックのテクニックと主張しているようですが、一般には異論が出ています。

 ウイリアム T. ジャービス博士は、「頭蓋骨オステオパシー、別名を頭蓋骨仙骨療法、頭蓋骨療法は、ウイリアム G. サザーランド, DOが発展させた療法で、1930年代初頭に最初の論文を発表した」と述べ、オステオパシー医師のサザーランドDOが創始者であるとしています。また、カイロプラクティック界での頭蓋骨仙骨療法の使用に関し、「1920年代にサザーランドDOのもとで研修していたメジャー B. ディジャネットというカイロプラクターが、頭蓋骨仙骨療法を、仙骨後頭骨テクニックと改名した」と述べています。
(参考:Cranial とは頭蓋骨で、Occipitalとは後頭骨という頭蓋骨の一部を指す。)

 また、頭蓋骨仙骨療法は、免許取得の為の教育が700時間(半年)程度のマッサージ師(LMT)であっても施術する事が認められています。シカゴにあるマッサージ学校のThe New School for Massage, Bodywork & Healingでも、その他の西洋の物理療法等の中に含まれ、Cranial Sacral Therapyと他の療法を合わせて僅か40時間の教育です。

 カイロプラクティックの定義は、「カイロプラクティックとは、自然の法則に基づく哲学・科学・芸術であり、病気の原因となる脊柱上の分節の不整列を、素手によってのみアジャスト(矯正)するシステムである。」と創始者のDDパーマーが定めています。しかし、SOTでは、仙骨・骨盤の調整操作にブロックと呼ばれる車止めの様なクサビ型の道具を用い、素手によってのみアジャストしません。

 全米の19校あるカイロプラクティック大学で、正規のカリキュラムでSOTを必須のカイロプラクティック・テクニックとしているところが1校もないのが現状です。選択科目でもSOTを教えていない大学も少なくありません。

 従って、前述の要件を整理してみると:

1.ドクターでない者が施術できる: HHSの裁定で、脊柱の矯正はドクターでなければ行ってはならない、とされているが、頭蓋骨仙骨療法は准学士の学位すら持たないマッサージ師が施術する事が許されている。

2.カイロプラクティックでない療法が根源: SOT(Sacro Occipital Technique)は、オステオパシー医師が創始した頭蓋骨仙骨療法(Craniosacral Therapy)を改名したもので、その根本原理は同じである。

3.カイロプラクティックの定義と合わない: SOTが用いるブロック調整法は道具を用いる為、カイロプラクティックの定義と整合性がない。

4.正規の科目になっていない: 全米の19校あるカイロプラクティック大学で、正規のカリキュラムでSOTを必須のテクニックとしているところが1校もない。

と上記の1〜4項の要件から判断しても、SOTがカイロプラクティックのテクニックと言うのは無理があると言えます。

 「SOTは、サザーランドDOというオステオパスが開発した頭蓋骨仙骨療法を、弟子であったディジャネットDO, DCが仙骨後頭骨テクニック(SOT)と改名してカイロプラクティック界に持ち込んだ物理療法の1種であり、頭蓋骨仙骨療法はマッサージ師などの医療補助職従事者であっても施術が許される程度と評価されている療法」であり、SOTと称して一部のカイロプラクターが用いているというのが適当でしょう。

 カイロプラクティックのアジャストメントは、高速低振幅と言われる素早くかつ適度な力加減と深さにコントロールされた素手によってのみ行われる矯正法です。その修得は、素質のある者であっても、反復継続した修練を必要とする難易度の高いものです。次回は、そういった本当のカイロプラクティックのテクニックについて紹介します。

(カイロプラクティック・ミニ講座:参考文献)
1.Chiropractic Economics: ChiroEco NewsFlash, March 2002 Volume 44, Number 3, P.3.
2.Sacro Occipital Research Society International http://www.sorsi.com/index.cfm
3.William T. Jarvis, Ph.D. Some Notes on Cranial Manipulative Therapy. 2001 National Council Against Health Fraud. http://www.ncahf.org/articles/c-d/cranial.html
4.The New School for Massage, Bodywork & Healing http://www.newschoolmassage.com/program_content.html


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