MASAさんの健康と医療関連トピック



著者略歴 
MASAこと、Dr.松下順彦DC,LCP


1962年、大阪生まれ、44歳。 職業は、カイロプラクティック医師。 明治東洋医学院卒: 鍼灸師免許、柔道整復師免許を所持。 大阪府枚方市で松下鍼灸整骨院を開業、10年以上の臨床経験 を持つ。

 パーマー大学卒: ドクター・オブ・カイロプラクティック学位 (DC)、カイロプラクティック哲学称号(LCP)を取得。
イリノイ州免許( Licensed Chiropractic Physician )を所持。

 2005年3月から、シカゴ郊外アーリントンハイツのACE CHIROPRACTIC CLINIC の院長。 脊柱解剖学II解剖実習参考書を著作、代替医療専門誌「医道の 日本」「マニピュレーション」「カイロタイムズ」に論文寄稿 。「カイロプラクティックのこころ」翻訳協力。「ジャングル 」「シカゴ新報」など日系紙に健康コラム執筆。 国際日本人DC倶楽部(IJDC)の会長として、正しいカイロプラ クティックの普及・啓蒙活動に精力を傾注している。

                第8回 ストレスの上手な対処法

 生きている限りストレスのない人はいません。 また、適度なストレスは生産性の向上や能力向上に必要であり、全てのストレスが有害なわけではありません。 しかし、ストレスによって心身の健康が害されている人が沢山いることも現実です。 今回はストレスを知り、ストレスを上手く処理する方法のヒントを紹介します。

ストレスとは何か:

 ストレスとは、医学的に言うと「何らかの刺激が身体に加えられた結果、身体が示したゆがみや変調」のことです。このストレスという言葉は、カナダの生理学者であるハンス・セリエ博士が1936年にイギリスの雑誌「ネイチャー」誌に「ストレス学説」を発表したことから使われ始めました。そして、ストレスの原因となる刺激のことを、ストレッサーといいます。 ストレッサーは、大別して4つあります。

1. 精神的ストレッサー:
仕事や家庭での人間関係トラブル、精神的な苦痛、怒り・不安・憎しみ・緊張などです。

2. 物理的ストレッサー:

高温や低温による刺激、放射線や騒音による刺激、仕事や勉強中の不良姿勢、スポーツや事故による骨折・捻挫といった外力による怪我など。

3. 化学的ストレッサー:
大気汚染、水質汚濁、酸素の欠乏・過剰、栄養不足、食品添加物などの化学物質による有害刺激、医薬品の副作用など。

4. 生物的ストレッサー:
病原細菌・ウイルスの侵入、アレルゲンであるダニや花粉などの刺激。

しかし、ストレスという言葉がまだない1910年には、カイロプラクティックの創始者であるDDパーマーが、病気の原因となる脊椎不整列(サブラクセーション)を引き起こす要素には3つのTがあると言っています。

その3つのTは:

Trauma(トラウマ):外傷・怪我・外力など(物理的ストレッサー)

Toxin(トキシン):毒素・有害物質など(化学的及び生物的ストレッサー)

Thought(ソウト):思考・自己暗示など(精神的ストレッサー)であり、ストレス学説と同じような概念を既に見出していました。

この点から云えば、カイロプラクティックはストレスに対する学問であり、治療であるとも言えるのです。

ストレスと体の反応

 では、ストレッサーによって体はどう影響されるのでしょうか。

 人間の体は、神経系、内分泌系、免疫系という3つのシステムが互いに連携を取り合うことによって健康が保たれています。 しかし、外部からストレスという刺激が加わると、神経系のうちの自律神経は各器官にストレス刺激に対応した反応をはたらきかけ、内分泌系は内分泌腺にはたらきかけてホルモンを血中に分泌させて体のバランスを保とうとします。 例えば、ストレスがかかると心拍数や血圧が上がるのは、身に迫る危険に対抗するために自律神経が調整した結果なのです。

 そして免疫機能にも乱れが生じます。 免疫系はウイルスや細菌をはじめとする異物の侵入から体を守るための防御機能を司るシステムであるため、このシステムが正常にはたらかないと、風邪や食中毒の感染症にかかりやすくなったり、アレルギーやがんなどの病気を引き起こすことにもなりかねないのです。

 このストレス状態が長く続くと、食欲の低下、筋肉の緊張、疲労感、不眠、イライラ、憂うつなどいわゆる「ストレス反応」となって現れるのです。

 怖いのは、慢性的なストレスで心身の歪みや疲れがたまっている時に急性ストレスが追い打ちをかける場合です。 慢性ストレスが続くと、免疫力の低下や動脈硬化など、身体の老化現象が起こりやすくなります。 そこに急性ストレスが加わると、急激な血圧上昇や血液の凝固などの変化に身体が耐えきれず、急性心不全や心筋こうそくの発作が起き易い状態になるのです。過労死や突然死の大部分がこのケースと推定されます。

ストレス対処法

 そこで重要になるのが、ストレスを上手に対処するストレス・マネージメントです。 それはストレス耐性を向上させることにもなります。 

ストレス・マネージメント:

1.ストレスの原因となるストレッサーの排除・軽減または回避するため、環境や行動を変えて、現在のストレスの原因を減らすように努める。

2.僅かな刺激をストレスと感じてしまう認知の修正のため、思考を変えて安易にストレスと思わないように導く。

3.ストレスと感じた事に対して、体が過剰に反応しないようにする生体反応のコントロールのために、医療専門家によるカウンセリングやケアを受ける。又、ストレス反応を軽減する要素として、対処行動の発展や社会的支持基盤の確率も必要である。

 しかし自分の力だけでは改善できない事もありますから、家族、職場、専門家などの協力が必要な場合もあります。では、具体的に自分で出来る対処法にはどのようなものがあるのか、以下に紹介します。

自分で出来る簡単なストレス発散法は:

1.適度な運動をする事                        

2.適度な休息をとり深呼吸をする事                  

3.カラオケ店や自宅の風呂場で大声で歌うなど大声を出す機会をつくる事 

4.お笑い番組を観るなどして大声で笑う事               

5.静かに瞑想し心を静める事


6.アロマテラピー:

 アロマテラピーでは、ラベンダー、ローズマリー、レモン、カモミール、ペパーミント、サンダルウッドなどの精油をお風呂や足湯に数滴垂らすと良いでしょう。

7.音楽療法:

 音楽療法としてクラッシック音楽、バロック音楽、アルファ波や1/fのリズムの音楽、リラクゼーション音楽などのCDが市販されているので、瞑想時、入浴時、睡眠時などに利用するのも効果が期待できます。

8.食事・栄養:

 ストレスから体を守ってくれるビタミンB1、ビタミンC、カルシウムを十分に食事で摂りましょう。 サプリメントではなく自然な食材から摂取しましょう。ビタミンB1を多く含む食材は: 豚肉、内臓類(モツなど)、カモ肉、大豆、落花生、ウナギ、ソバ粉、グリンピースなど。ビタミンCを多く含む食材は: いちご、かき、レモン、キウイフルーツなど果物類、キャベツ、こまつな、パセリ、ピーマンなどの野菜類、さつま芋、じゃがいも等の芋類、そして鶏・豚・牛のレバーなど。カルシウムを多く含む食材は: 魚介類、海藻類、豆類、乳製品、粗塩、ゴマ、ニンジン、ブロッコリーなど。

ストレスの治療法:

1.鍼灸:

 鍼灸によって乱れた「気」のバランスを調整すると同時に、筋肉の緊張を緩め、血行やリンパの流れを改善します。 また、鍼刺激によって脳の中でα−エンドルフィンという快楽物質が生成され、鎮痛効果やリラックス効果が期待できます。

2.マッサージ:

 筋肉をほぐし、血行やリンパの流れを改善します。 心地良い刺激でリフレッシュ感が期待できます。

3.リフレクソロジー:

 足ツボ療法とも呼ばれ、足裏のツボや反射区を刺激することで全身の血行を促進し、体の凝りをゆるめる事やリラックス効果などが期待できます。

5. カイロプラクティック:

 ストレスによって歪んだ体、特に歪んだ脊柱を正しく整えて神経系の機能を正常に回復・維持するためには、カイロプラクティックのケアが必要です。 痛みやコリの解消に止まらず、様々な症状や病気の原因となる「神経系の機能の妨害」である脊椎不整列を取り除くことが期待できます。

 歪んだ脊柱の椎骨不整列(サブラクセーション)を探し出し、それを矯正出来るのは、カイロプラクティック医師(Doctor of Chiropractic)が唯一の医療専門職であり、大学7〜8年間の教育で必要な知識や技術を学んでいます。ストレスを感じたり、体調が優れない場合は、先ずカイロプラクティック医師(DC)に相談するとよいでしょう。これらの情報を参考にして、上手にストレスをコントロールし、適切に体をケアしながら健康で有意義かつ充実した人生を送ることが出来るといいですね。

☆ カイロプラクティック・ミニ講座: カイロプラクティックの象徴

 一般の方はご存知ないかも知れませんが、カイロプラクティック、西洋医学や薬学には、それぞれ象徴となるシンボルマークがあります。

 カイロプラクティックの象徴は、「カイロプラクティック・エンジェル」と呼ばれるもので、上の写真の様に手を広げた天使にリボンが巻き付き、リボンには「Health」と「Chiropractic」とが標されています。

 この象徴は1934年に当時のNational Chiropractic Associationの会合で制定されました。


 
筆者は、クリニックのロゴには松下家の家紋である「六つ丁子」を用いて、日本人として、また武家の末裔としての誇りを示しておりますが、クリニックの正面玄関やパンフレットには「カイロプラクティック・エンジェル」を用いています。 それはカイロプラクター(DC)としての誇りがあるからです。

 中央の写真はAmerican Chiropractic Association (ACA)が用いたロゴマークであり、1973年の著作権が記されたBasic Chiropractic Procedural Manualの表紙に印されています。 

 このACAのロゴマークにも、やはり中央にカイロプラクティック・エンジェルが描かれています。

 このACAのロゴマークの右下方には丸にRという意匠登録記号が付いていますから、このロゴのデザインは勝手な盗用が認められていません。

 西洋医学の象徴を英語では「Caduceus」といい、ギリシャ神話を起源とするアスクレピオスの杖(Hermesの杖)を指します。 

 杖にヘビが巻き付いているものです。 良く用いられるデザインは、下の写真の様に「杖に2匹の蛇が絡まり、翼が付いた」もので、医術の象徴として知られており、医師によって誇りと共に用いられています。 アメリカ陸軍軍医部隊の記章もこの象徴を使っています。


 西洋医学の医師(MD)は、このCaduceusを名刺に標したり白衣に刺繍したりしますし、歯科医師はCaduceusにデンティストのDを付け、獣医師はVを付け、看護師はRNと付けたりします。 現在では西洋医学の一部になったオステオパシー医学の医師(DO)も、CaduceusにDOと付けて用いるようです。

 しかし、西洋医学ではない独自の医学であるカイロプラクティックの医師(DC)は、このCaduceusを用いません。 正しくカイロプラクティックを学び、その原理原則や歴史などを理解している、信念のあるカイロプラクターは絶対にCaduceusを用いたりしません。

 歴史的に視ても、カイロプラクティックの創世記には、アメリカでもカイロプラクティックの免許がありませんでした。 当時、カイロプラクティックに患者を奪われた医師達は、カイロプラクターを「無免許医療行為」で告発し、多くのカイロプラクターが投獄されました。有罪を認めて罰金を払えば釈放されるのを解っていながら、カイロプラクター達は「無罪」を主張し、罪を認めて罰金を支払う事を拒んで敢えて牢獄に繋がれたのです。

 それは、「私はカイロプラクター(DC)である。 医療行為などしていない。 医療行為は医師(MD)がするものだ。 私は医師の振りをして医療行為などしていない。 私はカイロプラクティックをしたのであって、無免許医療行為をしていないのだから無罪である」というカイロプラクターとしての信念に基づく行為だったのです。 「カイロプラクティックは西洋医学とは違う全く別のものだ」という強い意思表示を身をもって示したのです。

 記念すべき勝利は、日本人初のカイロプラクター森久保繁太郎DCでした。 1907年、ウイスコンシン州で開業していた森久保DCは、やはり無免許医療行為で逮捕・投獄されましたが、パーマー・スクール(現大学)学長のBJパーマーDC,PhCの尽力で無罪を勝ち取り、釈放されたのです。 ポイントは、「カイロプラクティック」と「西洋医学」の違いを、定義、原理原則、診察や治療の定理、方法論、学校での教育、臨床などにおいて証明した事でした。

 全米の多くの信念あるカイロプラクター達の犠牲的戦いと、BJパーマー先生の活躍で、「カイロプラクティックは西洋医学とは違う独自のシステムである」と裁判でも認められ、やがてはその治療効果も認められて、1州また1州とカイロプラクティックを法制化して免許制度が制定されていきました。

 1974年にようやく全米50州の全ての州で法制化が完了しましたが、そういった信念あるカイロプラクター達の犠牲なしに、カイロプラクティックは存続出来なかったのです。 それ故に、カイロプラクティックの源泉であるパーマー大学では、彼ら投獄されても戦ったカイロプラクター達に感謝と敬意を表して、その名と投獄された期間を記した掲示板を作成して、その勇気を今でも称えて語り継いでいます。

 こういった歴史を知っていれば、仮にもカイロプラクターと称してカイロプラクティックを業とするなら、間違っても西洋医学の象徴であるCaduceusをDCというカイロプラクティックの学位と並べて使う事はあり得ません。 それは、カイロプラクティックという専門職に対する裏切り行為であり、自らを犠牲にしてもカイロプラクティックを守った先人達に対する侮辱であると取られても仕方のない行為だからです。

 筆者は、日本人で最も深くカイロプラクティックを学びLCPの称号を与えられておりますから、今回紹介させて頂いたカイロプラクティックの歴史を当然知っておりますので、前述の信念あるカイロプラクターである大先輩のDC達に心から敬意を払っております。 そして何よりもカイロプラクティックを愛し、信じておりますから、誇りをもってカイロプラクティックの象徴であるカイロプラクティック・エンジェルを使用させて頂いております。

 カイロプラクターが使用している「象徴」ひとつにも、こんな歴史的な意味があり、そのカイロプラクターの哲学が現れています。

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