MASAさんの健康と医療関連トピック



著者略歴 
MASAこと、Dr.松下順彦DC,LCP


1962年、大阪生まれ、44歳。 職業は、カイロプラクティック医師。 明治東洋医学院卒: 鍼灸師免許、柔道整復師免許を所持。 大阪府枚方市で松下鍼灸整骨院を開業、10年以上の臨床経験 を持つ。

 パーマー大学卒: ドクター・オブ・カイロプラクティック学位 (DC)、カイロプラクティック哲学称号(LCP)を取得。
イリノイ州免許( Licensed Chiropractic Physician )を所持。

 2005年3月から、シカゴ郊外アーリントンハイツのACE CHIROPRACTIC CLINIC の院長。 脊柱解剖学II解剖実習参考書を著作、代替医療専門誌「医道の 日本」「マニピュレーション」「カイロタイムズ」に論文寄稿 。「カイロプラクティックのこころ」翻訳協力。「ジャングル 」「シカゴ新報」など日系紙に健康コラム執筆。 国際日本人DC倶楽部(IJDC)の会長として、正しいカイロプラ クティックの普及・啓蒙活動に精力を傾注している。

                第21回 米国の医療保険制度の問題


 国民皆保険制度で保護されてきた日本人にとって、米国の医療制度と保険制度は馴染みがなくて分かり難く、HMO、PPO、インネットワーク、アウト オブ ネットワーク、ディダクタブルといった、日本では聞いたことがないような制度の違いを理解していない方が殆どです。基本的には、保険料の安い保険(HMOなど)を契約すれば、補償の範囲や程度が劣り医療を受けた時の患者の負担額は大きく、保険料の高い保険(PPOなど)を契約すれば、補償の範囲や程度が良く医療を受けた時の患者の負担額は少なくなります。

 しかし、米国の医療保険は、メディケア、メディケイドといった高齢者や低所得者を対象とした一部を除き、一般的には民間営利企業である保険会社が販売・運営していますから、その保険料、自己負担率及び保険のカバー率、免責額(ディダクタブル)、保険補償限度額、通院回数上限などが、個々の契約によって異なり、驚くべきことに「保険のカバー率」などは保証していません。こういった内容の説明は、保険の販売員の方などがインターネット上で詳しく紹介されていますから、ここでは米国の医療保険制度の問題点を中心に紹介し、「賢い選択のできる患者」となって頂けるような情報を提供したいと思います。

1.2003年7月8日に「ヘルスデイニュース」に掲載された、米国医師会倫理委員会の委員長Matthew Wynia氏らが、米国の医師700人に「保険規約の決まりがあるために、患者に役立つ医療サービスを提供しなかったことがあるか」と質問して調査した報告によると、「ときどきある:23%、しばしばある、又は、非常にしばしばある:8%」という結果が判明しました。つまり、患者の保険の補償範囲と規約を優先して、患者に有益な医療を提供しない医師が31%もいるのです。特定の保険会社と契約してインネットワークになった医師や医療機関は、契約に基づいてサービスを提供するため、その契約により多くの制限を受けることになり、患者に適した、或いは必要な医療が提供出来ない可能性があるのです。保険のカバー率だけで「インネットワーク」の医療機関を選択すると、医療の質は保証されないばかりか、最適な診療すら受けられない事にもなりかねないのです。

2.業界紙Dynamic Chiropractic 2009年8月12日号に掲載された「保険業界の最悪中の最低」という記事では、「米国の最低な保険会社10社」という米国正義協会(AAJ: The American Association for Justice)のリポートを引用し、代表的な保険会社がどの様に「保険料を値上げし、医療費の支払いを拒み、最も医療が必要な人々への保険を拒否しているか」を、精細に紹介しています。その中で、Allstate の元従業員が、会社の請求管理戦術は「3つのD」があり、「Deny: 与えない、Delay: 遅らせる、Defend: 防ぐ」であると告白しています。そしてリポートは、「米国の保険業界は年間に1兆ドル(約100兆円:$1=100円)の保険料を得ている」とし、「保険業界の全資産は3兆8千億ドルで、それは世界のGDPの米国と日本を除いた全てよりも多い」、また「生命保険・医療保険の保険業界は、過去10年の平均年利益が300億ドル」と報告しています。何という事でしょうか。 保険会社は、毎年の約100兆円の保険料を集め、3兆円の利潤を得ておきながら、顧客が受けた医療費の請求に対して支払いを拒んでいるのです。社会性、公共性を求められる業界に相応しくない対応と言えるのではないでしょうか。

3.共同通信の8月12日の報道によると、オバマ米大統領は11日、ニューハンプシャー州での対話集会で、「焦点の医療保険改革に反対する保険業界や保守派が、既得権益を守るため虚偽情報を流して世論をミスリードしている」と非難。多額の補助金を受給する同業界は不当な巨利を得ているとして「米国民は保険会社の人質だ」と述べるなど、従来にない激しさで"抵抗勢力"の切り崩しに攻勢を強めています。また、「現行制度では保険業界に1770億ドルの無駄な補助金が流入している」と批判。加入者の病状悪化などを理由にした保険金支払いの停止が横行して「保険会社だけが利益を得ている」と述べています。オバマ大統領は、保険会社だけが不当に利益を上げている現状を改革する必要があると指摘し、改革しようとしているのです。

4.米経済誌BusinessWeek 2009年8月17日号に掲載された「何故、保険業者は勝つのか」という記事で、保険会社がワシントンへの影響力の為に、政治的活動へ出資した金額が紹介され、2007〜2008年の金額は、Blue Cross/Blue Shieldが$3,125,921、AFLACが$2,211,030、UnitedHealth Groupが$1,568,634などです。BC/BSは政治的キャンペーンだけで3億円以上も出資しています。保険会社は、巨額の資金を背景に、政治的圧力をかけ、既得権益を確保しようとしているのでしょうか。

5.毎日jpの2009年9月10日の報道によると、オバマ米大統領は9日夜、連邦議会の上下両院合同会議で演説を行い、議会の法案策定が行き詰まっている医療保険制度改革について、「口論の時は終わり、(政治)ゲームの時は過ぎた。今こそ行動すべき時期だ」と強調した。その上で大統領は民主、共和両党に党派や価値観の対立を乗り越え、「最善のアイデア」を改革に結実させようと呼びかけました。オバマ大統領は「過去1世紀、医療保険改革が既得権益などの壁に阻まれ続けた」とも指摘し、「私が(改革に取り組む)最後の大統領になる覚悟だ」と述べ、不退転の決意で臨む姿勢を鮮明にしました。また、「約4600万人と言われる無保険者を解消し、寡占状態にある民間保険会社の高額保険料と恣意(しい)的な保険適用を是正するため、公的保険導入が必要」と訴えています。オバマ大統領は演説で公的保険への共和党の批判について「(政府介入が)誇張され、恐怖心をあおっている」と非難。「何もしなければ多くの家庭が破産する」と述べ、「保険会社の公正さ」を確保する上で非営利の公的運営が重要だと強調しました。オバマ大統領は、「寡占状態にある民間保険会社の高額保険料と恣意的な保険適用を是正するため」と、保険会社による利己主義・営利主義で不公正・不誠実な保険業運営姿勢を非難しています。オバマ大統領の改革は、我々在米日本人にとっては、公的保険の導入そのものは関係ないかも知れませんが、それによる民間保険会社の公正化が実現した場合は、その利益を享受することになるでしょう。

まとめ:民間営利企業が医療保険を販売・運営している限り、保険会社の第一の目的は利益を上げることであって、顧客である患者を救うことではありません。患者本人や、医療機関が事前に保険の補償内容を保険会社に問い合わせても、情報は一部しか提供されず、提供したカバー率などの情報も保険会社は保障しません。それは、請求書が届いてから、保険会社の都合の良いように勝手に操作する「恣意的な保険適用」を行う為なのでしょうか。日系の医療機関では初診時に患者さんから提示された保険カードに基づいて、患者さんに代行して保険会社に補償内容を確認する事がよくあります。しかし、その際に聞いた内容と、実際に医療費請求書を送付した後に保険会社から届くEOB(給付金の解説)には差がある事があるのです。90%の保険補償と聞かされていたのに、保険会社が勝手に医療費に上限を設定し、それを超えた部分は補償対象外とするなど、一方的に補償金額を下げるような操作をし、結果として顧客である患者の負担が増えるのです。そうすると、患者さんは、「聞いていた話と違う」と医療機関に苦情を言われるのですが、実は、その原因は保険会社なのです。こんな時、保険を契約した際の保険販売員は何の支援もしてくれません。会社で団体保険として契約している場合は、自分の会社の厚生担当者から保険会社に苦情を訴えるのが最も効果的と言われています。日本の公的な健康保険制度と違って、米国の民間営利企業による医療保険制度には、オバマ大統領が指摘する様に、「寡占状態による高額保険料と恣意的な保険適用」という保険会社の問題がある事を理解しておきましょう。

 また、「保険の補償範囲と規約を優先して、患者に有益な医療を提供しない医師が31%もいる」という医療機関の側の問題もあります。しかし、カイロプラクティックを保険の対象外としている日本と異なり、米国では殆どの主要な保険会社の医療保険がカイロプラクティックを補償しています。そういう利点もあるのです。「保険はあくまでも医療費の一部を補填してくれるもの」と認識し、盲目的な信頼や、過度の依存は避けましょう。保険のインネットワークなども、医療の質とは無関係で、契約の有無だけの違いです。医療機関を選ぶ時は、保険の補償率だけに拘ってインネットワークから選ぶと本当に必要な医療が受けられない可能性や、質の高い医療機関を受診する機会を失うリスクがありますから注意しましょう。医療費の高額な西洋医学の病院の場合は、保険のインネットワークかどうかも考慮しなければならない事もありますが、費用対効果に優れたカイロプラクティックの場合は、カイロプラクティック医師の資質、X線撮影装置の有無、設備の良否、提供するサービスの質などを特に考慮すべきでしょう。目先の小さなモノに拘り質の悪い医療を受ければ、結果的に高い代償を払う羽目にもなりかねません。

 古代ギリシャの哲学者で、「医学の父」や「医聖」と称される優れた医師でもあったヒポクラテスは、「賢い者は、健康こそが最も偉大な天恵であることを熟考するべきである」と述べ、健康の大切さを説いています。貴方の大切な健康の為に、本物のカイロプラクティックをお試し下さい。


☆ カイロプラクティック・ミニ講座: 腰痛とカイロプラクティック 2

 これまでの研究でも「カイロプラクティックが腰痛に効果的」であることが報告されてきましたが、新たな研究でも更にカイロプラクティックの優位性を裏付ける結果が報告されましたので紹介します。

1.Consumer Reportsの調査

 アメリカで最も信頼されている消費者団体の雑誌「Consumer Reports」が、腰痛の治療結果に関して1万4千人の読者を対象に調査した結果を2009年5月号のコンシュマーリポート誌および、インターネット版に掲載しました。

「誰が最も助けたか?」という問いに対して

1.カイロプラクター(DC)・・・59%
2.理学療法士(PT)・・・・・・・55%
3.鍼灸師(LAc)・・・・・・・・・・53%
4.専門医(MD)・・・・・・・・・・44%
5.家庭医(MD)・・・・・・・・・・34%

という結果になっています。

約6割の読者がカイロプラクター(米国ではDoctor of Chiropracticのこと)が最も助けてくれたと答えたのです。鍼灸師も健闘して53%と過半数が支持しています。比較して西洋医学は、専門医(Physician, Specialist)が44%と大きく過半数割れとなり、家庭医(Physician, Primary Care)は34%と僅かに3分の1の支持に留まりました。西洋医学の範疇で健闘したのは理学療法士の55%でした。

コンシュマーリポート誌インターネット版は、こちらから見られます。 但し英文です。

2.医学誌Spineの論文

世界的に信頼されている医学誌「脊柱(Spine)」に2008年に掲載された論文から、腰痛に関する情報を御紹介します。この研究によって、労働者が腰に傷害を負った場合に、どのような医療を最初に受けたかによって、1年後の慢性的な労働障害の状態に差があるかが判明しています。

一年後に障害が残存する患者の比率:

1.カイロプラクティック・・・・・・・・・・・・・・・・・5%
2.プライマリー ケア (西洋医学)・・・・・12%
3.職業医学(Occupational Medicine)・・・21%
4.その他・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26%

(参考文献)Turner JA, Franklin G, et al. Early predictors of chronic work disability: a prospective, population-based study of workers with back injuries, Spine, 2008;33(25); 2809-18.

この結果から、カイロプラクティックに最初に診療を受けた患者は、他の医療を受けた患者より、1年後に障害が残っている確率が最も少ないことが分かりました。

別の方法で結果を表示すると、1年後に障害が残った患者の比率は:

1.カイロプラクティック  20人に1人
2.医師(家庭医)      8人に1人
3.医師(産業医)      5人に1人
4.その他の医療      4人に1人

この研究で示された結果から、労働で腰痛を起こした患者さんは、先ずカイロプラクティック医師(DC)の診療を受けると予後が良く、1年後まで慢性的な障害を引きずる確率が有意に少ないということです。


 今回の2件の調査結果共に、カイロプラクティック医師(DC)の方が、西洋医学の医師(MD:家庭医、専門医、産業医)よりも優れた結果を得ていることに、驚かれた方もいらっしゃるでしょう。 しかし、この2つの新しい知見によって、「腰痛の患者さんがカイロプラクティックを受けることは最も正しい選択である」、という根拠が、更に補強されたことになります。カイロプラクティックが腰痛に効果的であることは、これまでの研究でも示されており、一般的な腰痛の患者さんにとって、カイロプラクティックは最も適した医療であると言うことは、以前から知られています。 前回の第20回のコラムでも紹介しました。検査や診察、X線写真読影の結果、腫瘍、腹大動脈瘤、中枢神経系疾患やその他の重篤な状態であれば、カイロプラクティック医師(DC)は、患者さんを専門医(MD)に転医するなど必要な処置をするので安心です。

 腰痛は、アメリカ市民の約80%が生涯に一度は辛い目に遭うという一般的な症状ですが、それに伴う社会的・経済的損失は莫大なものです。 尤も、一番苦しむのは患者さん本人です。腰痛を起こせば、先ずカイロプラクティック! 欧米先進諸国では常識です。
アメリカやカナダ、イギリス等の先進国では、カイロプラクティックは医療保険の支給対象になっています。 アメリカの一般的な医療保険では、歯科のカバーがなくても、カイロプラクティックのカバーはあることが多いので、在米中にカイロプラクティックの恩恵を享受する日本人駐在員と家族の方が沢山います。

保険によって、ディダクタブル(免責額)やカバー率など補償内容は異なりますが、カイロプラクティックが保険で受けられるアメリカ在住中が良いチャンスと言えます。腰痛の方は、早めにカイロプラクティック医師(DC)にご相談されるとよいでしょう。

                                    
バックナンバー


ホーム | 初めての方へ | お問い合わせ | 投稿者&ライター募集中! | 規約と免責事項 | 会社概要

Copyright (c) 2005 US Shimbun Corporation. All Rights Reserved.