Tutto Orsi
シカゴの街は、クリスマスの飾り付けでひときわ美しさを増している。
クリスマスまでのホリデイ・シーズン。 アメリカ人はクリスマス・コンサートに行ったり、「クリスマス・キャロル」のようなクリスマの劇を見たりして、クリスマス気分を盛り上げて行くようだ。 アメリカ生活も二年目となった私は、そんなアメリカ人のやり方も少し見習って、クリスマス・コンサートに出かけてみた。
「ボストン・ポップス」のホリディ・コンサートである。 「ボストン・ポップス」と言えば、ジョン・ウィリアムスがずっと指揮者をつとめていたわけで、一度は「ボストン・ポップス」を生で聞きたいと思っていたので、渡りに船である。
レベルの高い演奏に満喫した。 「ホリディ・コンサート」ということもあり、ざっくばらんな雰囲気で、何箇所か笑いをとる場面もあった。 会場の人たちが、一緒にクリスマス・ソングを歌うという企画も良かった。
さて、会場は「UIC パビリオン」だったが、帰りにブルーライン「Racine」駅近くのイタリアン・レストランに寄ってみた。 特に事前の情報があったわけでもないが、地下鉄の駅を降りた時に目に入った「Tutto
Orsi」と書かれた大きなネオンが、何か私を誘ったのである。
店に入るとピアノの生演奏で、クリスマス・ソングが聞こえてきた。 バー・スペースがピアノ・バーになっているのだ。 ディナー・スペースにいても、十分その演奏は楽しむことができる。 こんな場所に、こんな洒落た店があったことにまず驚く。 とはいっても、店はお洒落ではない。 建物は古く、むしろ店内は歴史を感じさせる。何か和むような、とてもいい雰囲気に包まれている。
料理は、グリルド・カラマリ、リガトーニ (フレッシュ・モッツアレラ、ベーコン、スパイー・トマトソース)、リゾットの3品を注文。 まずは、前菜のカラマリ(イカ)だが、火加減が絶妙だ。半生よりちょっと火が通った状態で、実に柔らかい。 ゲソもヤワヤワで、イカのモッチリとした食感がたまらない。 ガーリックの風味が弱からず強からず絶妙である。 そして、イカの下にはホウレン草が敷き詰められているが、これはイカと一緒に炒めたもので、イカの旨みがホウレン草に染みて実においしいのだ。 この一品を食べただけで、火加減といい、味付けといい、ここのシェフがかなりの腕前であることが伝わってくる。 続いてのパスタとリゾットは、自ずと期待感が高まる。
さて、パスタとリゾットが運ばれてきたが、その量の多さに驚かされる。 アメリカのイタリアン・レストランはどこでも量は多いが、それと比べても明らかに多い。 リゾットら至っては、ライス2合は盛られている。 3人でないと一皿食べられない量だ。
さて肝心の味である。 歯ごたえがシッカリとしたリガトーニの茹で具合が良い(リガトーニとはショート・パスタ、とがっていないペンネみたいな)。 ベーコンとモッツアレラをトマト・ソースでスパイシーに味付けした単純なものだが、噛むごとにベーコンのうまみが口の中に広がる。 そして、これもまたガーリックの風味がアクセントになって、スパイスのピリ辛さともあり複雑な味のハーマニーをかなでる。 モッツアレラがゴムのように伸びる伸びる。 20センチも伸びるか・・・。 そのチーズの弾力がパスタの食感とうまくマッチする。噛めば噛むほどおいしい不思議なパスタだ。
リゾットも、スパイスが効いていて、ユニークな風味である。ブラック・オリーブが色彩的にも、そして味覚的にも個性を放っている。 いろんな具が細かく刻まれて煮込まれているようで、複雑な味わいが楽しめる。非常に個性的な一品と言って良いだろう。
以上、パスタやリゾットというありふれた料理の中に、食感や味のアクセントなども加味された満足の品であった。 さらに満足なのは、値段の安さである。 カラマリが$7、リゾットが$14、パスタが$14ほどである。 ダウンタウンのイタリアンと比べると、$5は安くその上量は多いときている。
さて、たらふく食べた後は、バーに移動して、ピアノと歌を楽しんだ。 ピアノの2メートルほど前にカウンターがあって、演奏者、シンガーと観客との距離が近い。 そのうち、観客も盛り上がって歌いだした。 ちょっとピアノを聴いてすぐ帰ろうと思っていたのだか、何だか楽しくなってしまい、1時間もバーにいすわってしまった。 帰ることになると、店主らしきイタリアンのおじいさんが話しかけてきた。 とても家族的な感じがした。 「とても、良いお店ですね」と礼を述べて、店を後にする。
帰りは、雪が積もった街をテイラー・ストリートを通って歩いて帰った。 テイラー・ストリートといえば、リトル・イタリーである。 イタリアンの店が何軒もある。 この「Tutto
Orsi」は、テイラー・ストリートからはちょっと離れてはいるが、この辺まで昔はイタリア人が住んでいて、昔から営業しているんだなあ、という雰囲気が感じられる。
私はテイラー・ストリートのすぐそばに住んでいるので、テイラー・ストリートのレストラン20軒近くをほとんど制覇した。 リトル・イタリーでは、「Francesca's」(1400
W Taylor St,)が断トツと思っていたが、意外にもリトル・イタリーのはずれに、こんな良いイタリアン・レストランがあったとは、灯台下暗しであった。 帰ってから調べたが、「ZAGAT」にも載っていない店だ。 味だけで言えば「Francesca's」の方が上だろうが、家庭的な雰囲気とピアノと歌。 値段とボリューム。 総合点で言えば「Tutto
Orsi」に軍配が上がる。
シカゴにもこんな隠れた名店がまだまだあるかと思い、とてもうれしくなった。
Tutto Orsi
324 S Racine, Chicago
312-421-3636
http://www.tuttoorsi.net/
写真

イカのグリル

リガトーニ

個性的な味のリゾット

ピアノバー

店舗概観
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