藤河さんのシカゴはクール



著者略歴 藤河信善

現住所:シカゴ(USA)
職業:分子生物学者/Ph.D(日本、アメリカ、ドイツの大学で研究歴)、映像作家、旅行家。
で、誰あんた?:医学部で働いたり、ラオスの山中を山岳民族と渡り歩いたりと、大志無く、ただ赴くままに生きているジプシー人生。


ユキノヒノシマウマ

TukTuk Race 〜東南アジア気まま旅 (のらり連載中)

メールマガジン「海外生活基本レシピ」


バックナンバー



*釣りをしてみたいんだけど初めてで不安、釣りが好きなんだけ何処へ行けば大きな魚が釣れるのかわからない、トローリングに同乗して欲しい、アメリカ人ガイドでは英語が不安という方は、「wanderphoto[at]live.com」まで。



                中西部釣り紀行その2


スモールって?

 中西部を中心としたアメリカのターゲットフィッシュを紹介する上でどの魚を第一回目に取り上げるか悩んだのだが、やはりここは中西部原産であり、私が一番好きなターゲットフィッシュでもあるスモールマウスバス(以下スモール)を紹介することにしよう。

 今「アメリカで一番人気のあるターゲットフィッシュは何か?」と尋ねられれば、個人や地域の差はあるにせよまず間違いなくブラックバスという答えが返ってくる確立がダントツで高いのは疑いようのないところである。

 このブラックバスをルアーで釣り上げる大会が全米各地でアマ・プロを問わずに多数開催されており、なかでもトッププロが競うB.A.S.SとFLWという2団体の大会では、それこそ一般の人が聞いたら「えっ、釣りの大会で優勝するとそんなに賞金がもらえるの?」とびっくりすること間違いなしの盛り上がりようなのである。


ちなみにプロの中でも別格と賞賛されているKVDことケビン・バンダム選手の場合だとすでに賞金獲得総額は3億円を突破、日本人として海外選手初のクラシックチャンピオンにもなった大森貴洋選手も負けずに1億円を突破している。

 このバス釣りの中心になるラージマウスバス(以下ラージ)と今回紹介するスモールでは、同じブラックバスという呼び名でも性格はまったく異なったものを持っている(ブラックバスの細かい分類や性格等は、ラージ編で紹介する)。もちろん両方ともにバス釣り大会では重要なターゲットとなるのだが、性格がまったく違うために釣り方もまったく違ったものと考えなければならない。

 スモールは北米に広がる五大湖周辺の中西部・東部を原産地として、そのターゲットフィッシュとしてのスポーツ性の高さから、今では全米各地はもちろんのことアジアやアフリカにも移植されている。ルアーにガババッと食いついてくる元来アグレッシブな性格のバスということであるから、この移植が問題になって日本でも特定外来生物に指定されるなどして駆逐の対象となっているという問題もある。でもアメリカ、特に中西部で釣る限りにおいてはそのターゲットフィッシュとしての楽しさはもちろん、ここで生まれ育った原産地なのであるからして、そういうことも気にせずに楽しめるというわけである。

 通常15〜50センチくらいのものがターゲットとしてよくルアーに反応し、黄色から茶色をした体表に這うトラ模様の縞柄と赤い目が特徴的。5月から6月初旬にかけて卵を1匹のメスあたり5,000から14,000個ほど生み、毎年自分が巣を作って卵を生んだ場所へまた戻ってきて翌年も産卵することが知られている。成長の遅い魚として知られ、約30センチに育つには、5〜6年もかかると言われる。それだけにアメリカではキャッチ・アンドリリースが基本としてルールになっている釣り場が多いが、食べても美味な白身魚としてレギュレーションの範囲内の魚を持って帰ってフライやグリルにする釣り人も多い。ブラックバスとも呼ばれるが、ラージのほうがブラックバスの一般的イメージとしては強いために、このスモールはブラウンバス、ブラウニー、ブロンズバック、グリーントラウト、ジャンパー、レッドアイバス、スモーリーなどのニックネームで呼ばれることも多い。またルアーにかかった後の引き方は強烈で、ラージよりもさらに暴れ、ジャンプし、稲妻のように突っ走る。アメリカでは淡水魚のターゲットフィッシュとしては、体重あたりの引き味が一番強烈な魚と噂されている。ちなみにスモールの世界記録は、1955年にケンタッキーで釣り上げられた、重さ5.4キロ、長さ68.6センチの魚である。


湖沼での釣り方

 3月から11月がメインシーズンで、真冬も釣れないことはないが、水温が7度を下回ると7〜10mの深場へ潜ってしまい水底でじっと身を留めていることが多いために攻め方のパターンはかなり限定された厳しいものになる。

@冬が終わりに近づき水温が10度を上回りだすと、餌や暖かい日差しを求めて少しづつ浅場へ戻ってくる。この時期の攻略法としては、小さめのシャロー・クランクベイト(できればサイレント)を、派手なアクションなどは付けずに、水中で揺らめきながら留める程度にごくゆっくり引くのがよい。まだまだシーズンとしては始まったばかりだが、日によってはかなりの釣果も期待できる。またモンスターサイズの記録魚を狙うのなら、この時期が一番可能性が高い。

A水温が16〜18度になると、産卵のために巣を作り出す。この時期のスモールは気が立っているために、巣の近くへジャークベイト系をするするっと近寄せ、そこで派手なアクションを加えると、バクッとリアクションバイトすることも多い。産卵後にメスは巣を離れるのだが、約1週間ほどで卵が孵った後も、その後約1ヶ月ほどはオスが巣を守り続けるために、この手の攻略法が引き続き効果的なものとなる。

B産卵の時期を終え、水温もスモールが一番好む21〜27度に近づく初夏は、一年で一番数もサイズも期待できるシーズンである。基本的にはどのルアーで、どんな釣り方をしても楽しめる最高の季節なので、細かいことは気にせずにとにかく自分の得意な技とルアーで真っ向勝負を挑んでみるのがよいだろう。

C真夏の時期が近づいてくると、深場へ潜り日差しをさける個体が多くなり、ラージと違い冷水を好み夜行性が高くないスモールの場合には、陸っぱりからの釣りが非常に厳しい季節である。この時期の攻略法は、3〜4インチのチューブワームかグラブテールでゆっくりと丁寧に底を探るというフィネスな釣りが主体になる。回遊性が高いのでラージに比べるとストラクチャーを意識することの少ないスモールではあるが、この時期に限っては小さな砂利が混じった砂地、もしくは大小の岩が転がっているような地形を探すことが肝となる。

D暑さの峠を越え秋になるとスモールはまた浅場に戻ってくるのだが、急激な水温の変化による水の対流、酸素供給、餌の問題などから、ラージに比べるとスモールのこの季節の勝負時というのは意外に短い。日によって一番ヒットルアーに差が出るのもこの時期で、とにかくいろんなものをいろんなパターンで繰り出すのが基本となるが、お勧めは大きめのディープクランクを超早引きで巻くというパワーフィッシングスタイル。この釣り方で冬支度前のスモールがヒットすると、サイズからは想像もできないほどの強烈なあたりに思わず竿を持っていかれそうになる。また五大湖水系で釣りをしている場合には、このスタイルでスチールヘッド、コーホーサーモン、キングサーモンなどのうれしい外道がいきなりヒットしてくるなんてこともあるので、タックルは多少強めにしておいてもいいだろう。

 さて日本ではまだまだマイナーなスモールの湖沼での釣り方、基本はわかっていただけただろうか?次回はスモールの渓流での釣り方を紹介しようと思う。


*釣り場は地元の人たちが大事に育ててきたものであり、また情報を提供していただいた方々にもご迷惑がかかりますので、釣りキチ三平スタイルで詳細な位置は示しません。
ご連絡はこちらまで「wanderphoto[at]live.com」


                                   
バックナンバー


ホーム | 初めての方へ | お問い合わせ | 投稿者&ライター募集中! | 規約と免責事項 | 会社概要

Copyright (c) 2005 US Shimbun Corporation. All Rights Reserved.