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中西部釣り紀行その22(ベアトゥース山脈編:後編)
わずか1時間弱のアタック
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約1週間でアタックした今回の釣行、ベースキャンプまでの行程に片道2日(往復4日)ということで実質的にゴールデントラウトを狙うことができるのは3日間という限られた時間であったのだが、なんと同行したメンバー3人の内の2人が高山病でダウンするという状況に陥ってしまった。そういうわけで彼らの看病もあって、ゴールデントラウトの生息地へアタックをかけれるのは1日だけとなってしまった。
まあベースキャンプ付近も含めて、様々なネイティブ・トラウトが爆釣できたので、それはそれで楽しかったのだが、やはり生息地が生息地なので今回も厳しいアタックとなってしまった。(実はこれまでにさらに慌しいスケジュールではあったが、より情報も充実し、アクセスも容易なシエラネバダ山脈へ2回ほど挑戦し、それぞれ失敗に終わった苦い経験があるのだ。) |
結局、体調の回復しきらなかった一人をベースキャンプに残し、日の出前に我々3人で標高4,000m付近のゴールデントラウトの生息地へ向かったのだが、ベースキャンプに病人と主だった資材を残してきているために日が暮れる前までにはそこへ戻らなければならないという、まさ急襲軍であった。
とりあえず時間は限られているということで、道程で見かける条件の良さそうなレークやクリークには脇目もくれず、おぼろげな情報に期待をかける生息地へと一目散に駆け足トレッキングを続けた。ただ問題は時間だけではない、これだけの高地になるとクリークで釣りをしても渓流の水量が少ないことと、餌となる蛋白源の問題で、釣れるゴールデントラウトのサイズは相当小さい物に限られてしまう。もちろん、いざとなればそれを狙うしかないのだが、やはり一生にそう何度も狙える獲物ではないとわかっているだけに、ここは男らしくどうせならデッカイ奴を狙いたい。
そうなると、やはり目指すはレークへということになるのだが、各レークはそれなりに距離が離れているし、なかには道すらなく岩肌を這い登らなければ到達できないレークもある、しかも空気も薄いので余りに焦ると目眩すらしてくる。こういう時に生息地がわかっていればとは思うのだが、釣り人というのはやむを得ないとはいえ、そういう情報についてはかなり「ケチ」だ。手探り状態の中、迫る時間を気にしながら自分の勘を信じて竿を振り続けた。
確立を増すために途中で3人それぞれ別行動を決め、幾つかのレークを苦労しながら試した後で、半ばロッククライミングのように這い登った山頂にあるレークで、ついにそれらしきゴールドの魚影がルアーを追うのを目に留めた。その時の興奮といったら!もちろんターポンやマーリンのような巨大な魚との格闘も釣りの醍醐味だが、人知れない高地での美しいトラウトとの出会いは、サイズ的にはまったく比較にならないとはいえゾクゾクするような感動を与えてくれる。 |
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肝心のゴールデントラウトの生息は確認したものの、グリズリーベアーが活動的になる日暮れ前までにベースキャンプへ帰るために決めた2人の仲間との集合時間までは約1時間ほどしか残っていない。気温は低いのだが、キャストをする手に汗が滲む。「まだか、まだか・・・」
高地での希少種トラウトの場合は、警戒心が高いことと、それまで人馴れしていなかったことから、最初の数キャストが勝負になることが多い。だが、今回は約20分経過したところで、数匹がルアーの後を追ってきている姿を確認してはいるのだが、バイトにいたるまでは一切いたっていない。使っているルアーが悪いのか、それともアクションの付け方が合っていないのか?」、トラウトが追ってきているのは確認できているのだから、興味を示していることは間違いない。
「登山の際には装備が重くなるルアーよりも、軽量化できるフライ持参を選択することが多いのだが、今回はより大物を狙いやすいルアーをあえて選択したのが、そもそもの間違いだったのかもしれないな・・・」。そんなことも頭によぎるが、そればかりは今さらどうのこうの言ってもしょうがない。大物のトラウトは小魚や甲殻類等を主に捕食するので、ルアーでリアクション的に誘う方がヒットする可能性は高い。だがこれだけの高地になると、実は少ない蛋白源は風に乗って運ばれてくる昆虫類に頼っていることがよくあるので、マッチしたフライだとフライは素人並みの自分の腕でも入れ食いになることが多々あるのだ。
念願のゴールデントラウトは50cmオーバー
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目の前にゴールデントラウトがいることははっきりしているのに、刻々と時間だけは迫ってくる。だが、他のメンバーとの約束に遅刻することはできない。高地での待ち合わせに遅刻すれば、もちろん他のメンバーは何らかのアクシデントを想定して迷惑をかけることになるからだ。しかも、うっすらと空に雲が張り出してきているのは悪い兆候だ。木の一本すら生えていない吹き曝しの山頂湖だ、ここでサンダーストームにやられたら逃げ場所すらない。祈るような気持ちで湖畔を歩きながらキャストを繰り返していく。 |
だが、初めにゴールデントラウトを確認した場所から離れれば離れるほど、魚影がまったく確認できなくなってしまった。もちろん30〜40分ほどでこのレークの全てがわかることはあり得ない、だが、こうなると元の場所でないと釣れる気がしなくなってくるというか、焦る気持ちをザラザラと刺激してくれる。
「よし、最後は初めの場所で勝負をかけよう!」。そう決めて、足早に気になるポイントへ戻る。キャストを繰り返すと、確かにゴールドの魚影が遠くではあるが、透明度の高い湖面にうっすらと姿を現す。「やはり、ここだ。」ここには湧水か大岩か、なんらかのストラクチャーが底に潜んでいるのかも知れない。はっきりとした理由はわからないが、目の前にゴールデントラウトがいることは紛れも無く確認できる。スピナーから、スプーンにルアー変更して数投目、一旦底まで沈めてゆっくりとリトリーブしているとかすかにラインが揺れた。「いまだ!」。そのラインの微妙な揺れを逃さず小さく鋭くアワセると、湖面の先へと向かうラインには確かに生命感のある重みが乗っかっていた。
「ついに、ヒットだ」。今日の食いからいってコンディションはベストではないのかも知れない、そう考えるとチャンスはもうこれで最初で最後かもなのだ。「逃してしまえば、きっと一生このトラウトは俺を悩ますだろう・・・」。もちろん、まだ姿は見ていないのだから、このラインの先でファイとしている魚がゴールデントラウトとは決ったわけじゃあない、でも逃したらきっとそいつは70cmもある化け物ゴールデントラウトになって毎回飲み友達がうんざりするぐらいに酒の肴として出てくるだろう。
「いや、焦っているからだけじゃないぞ。こいつは確かになかなかデカイ。」。それほど長いファイト時間ではもちろんなかったけど、ファイトの重みがサイズへの期待を確信させてくる。尺オーバーは間違いないゴールド色に輝くトラウトが湖中で魚体をクネラセていた一瞬は、数十倍ものスローモーションになって今も脳裏に焼きついている。
手にしたその魚は、レギュラーサイズが14〜25cm程度といわれるゴールデントラウトとしては、50cmを越える超大物トラウトだった。 |
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*釣り場は地元の人たちが大事に育ててきたものであり、また情報を提供していただいた方々にもご迷惑がかかりますので、釣りキチ三平スタイルで詳細な位置は示しません。
ご連絡はこちらまで「wanderphoto[at]live.com」
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