藤河さんのシカゴはクール



著者略歴 藤河信善

現住所:シカゴ(USA)
職業:分子生物学者/Ph.D(日本、アメリカ、ドイツの大学で研究歴)、映像作家、旅行家。
で、誰あんた?:医学部で働いたり、ラオスの山中を山岳民族と渡り歩いたりと、大志無く、ただ赴くままに生きているジプシー人生。


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              ベースボールファン その3
 


 プロフェッショナルスポーツにおけるシカゴのベースボール界は、「陰と陽、光と影、水と油、犬と猿、月とすっぽんなんだそりゃ」というくらいにバッサリと2つに分かれているといっても良い。 それはバスケットボールがブルズ、アメフトがベアーズという具合にがっしりと一つにまとまっているのとは対照的ですらある。 

 もちろん私のように最近シカゴへやって来たばかりというベースボールファンの場合は別にして、シカゴ生まれのシカゴ育ちという生粋のシカゴアンの場合には、これはもう3世代4世代に渡る親子代々の遺伝子に組み込まれたかのような、決して交われなることないライバル関係としてシカゴ・カブスとシカゴ・ホワイトソックスという2チームはこの街に存在しているのだ。

 
じゃあその2チームというものは、どうしてそれほどバッサリ2つに分かれているのだろうか? その理由は簡単に口で説明できるほど単純なものではないが、かなり大胆に分類してみようじゃないの!(もちろんファンというものは千差万別なので、全てこれにあてはまるというわけではありませんが・・・。)

 まずは第1に両チームともに大リーグ屈指の歴史を誇り、また古豪としても知られているということから、100年に渡ってお互いに我らがという元祖的な意地の張り合いがあるということ。


 第2にカブスは、若者が多く住みお洒落なバーなども立ち並ぶ賑やかなノースサイドに球場が位置し、ファンもまたノースサイドからノースウェストサイドに多くいるということ。 そしてホワイトソックスは、シカゴ発祥の地とされるサウスサイドに球場が位置し、ファンもまたサウスサイドからサウスウェストに多くいるという地理的な縄張り争いがあるということ。 このノースサイドとサウスサイドの文化圏の違い、維持の張り合いというのはシカゴアンでないと理解しにくい部分ではあるが、あのアル・カポネ時代から脈々と続くライバル関係でもあるのだ。

 第3にノースサイドは学生や新しく移民してきた、いわいるニュージェネレーションの住人で、アジア系や東欧系などを含めて多種多様な人種が多いのに対して、サウスサイドというのは何代にも渡ってそこに住み続けているオールド・シカゴな住人で、アイリッシュや黒人など大家族形成派が多いという住人カラーの違い。

 第4に経済的にシカゴを牛耳るっているとされるノースサイドのユダヤ人グループやドイツ系グループと、政治的にシカゴを牛耳っているとされるサウスサイドのアイリッシュ系グループからくる財政的対立。 このことは球団の経営陣をみればびっくりするくらいに明らかである。

 第5に2005年にホワイトソックスがワールドチャンピオンになるまで、約100年に渡ってカブスとホワイトソックスの両チームが、メジャーリーグで最も長きに渡って栄光の座から遠ざかっているチームのワースト1位&2位という不名誉な称号を持ち、その立場からの「一抜け競争」にやっきになっていたということ。

 もちろんまだまだ他にも細かいライバル心を煽る要因というのは存在するのだが、とにかくメジャーで2番目に古い球場を持つカブスと新しい球場を持つホワイトソックス、歴史に残るホームランバッターであるサミー・ソーサを共有しあったチームであることなど、何しろこの2つのチームの間にあるわだかまりはかなり深いものがある。 そしてそのわだかまりをどんどん膨張させて楽しんでいるのが、生粋のシカゴアンであるカブスファンとホワイトソックスファンであるというわけ。 

 例えば私自身が経験したことからいくと、ホワイトソックスのイベントでは必ず何か問題やイザコザが起こると「おい!お前はカブスファンだろう?」というのが合言葉である。 そしてその逆もしかり・・・。 カブスファンの多い場所へ繰り出して、いったい何度「ソックス・サックス!」のTシャツやカードを見たか知れない。(サックス=最低)

 また私の奥さんはシカゴ生まれのシカゴ育ちで、「生まれた時からカブスファン」をそのまま地で行っているような人なのだが、このシカゴへワールドシリーズチャンピオンが1世紀ぶりにやって来ようかという大事な時期にいたっても、プレーオフの試合でホワイトソックスのプレーヤーがファインプレーをする度に「あぁ〜っ・・・」、ホームランを打つたびに「オオーッ、ノオ〜!!」、試合に勝つ度に「オー・マイ・グッドネス」と残念そうに肩をうな垂れていたのである。

 ちなみに私も奥さんの影響や住んでいた場所柄から今や立派なカブスファンなのであるが、やはりというかなんというか高津選手が在籍し、井口選手が大活躍したホワイトソックスだって、同じ日本人として応援したいのである。 そういうわけで隠れホワイトソックスファンとして、密かに彼らの活躍を大喜びしつつ、2005年のホワイトソックス快進撃を応援していたのだが、そんな私のことを奥さんはバイ・ソクシャルと呼んで軽蔑していた・・・。(バイ・ソクシャル=バイ・セクシャルにかけたもので、普段はカブスファンだが、こういう時にはソックスファンに様変わりする人)

      
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