Kuni のウィンディ・シティからの手紙


著者略歴 馬場邦子

アメリカの通信社東京支局、及びシカゴ支局で金融をカバー。
サンノゼ・マー キュリー・ニュースの 東京支局長アシスタントを経て、フリーに。
主にジャパン・タイムズにアート・ レビューを執筆。
2002年2月より、シカゴ郊外アーリントンハイツに住む。

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      カブスファンを酔わす福留孝介選手の大活躍
         「フクドメニア」誕生〜リグ レー・フィールド観戦レポート




福留ティーシャツを着ているファンもあちこちで見かけた
 開幕から5試合目で、驚異的な福留孝介選手の活躍は、カブスファンの心を完全 にとりこにしていた。福留選手が打席に立つたび、ファンは、スタンディング・ オベーションで迎え、うねりのような「フ・ク・ドーメ」コールが球場中にこだ ました。

 まさに「フクドメニア」誕生!急に華氏60度台まで上がり、暖かな春 の陽気になった週末の4月5日、カブス対アストロズ戦の2戦目を家族でシカゴ の地元リグレー・フィールドに観に行った。この日、先発5番出場の福留選手の 逆転決勝2塁打、相手の攻撃の流れを変えたファインプレーと絶妙なセーフ ティー・バントで、カブスファンを熱狂させた。

 リグレー・フィールドに入る前、息子たちに福留ティーシャツを買おうとお店に 入ると、なんと「フクドメ#1」とカタカナのティーシャツも飾ってあり、それ を着ている人にも何人か出会う。ストリート沿いの屋外の店をのぞくと、「必 勝!」「闘魂!」と書かれたハチマキが重ねて置かれ、多くのファンがそれらの ハチマキを巻いてリグレーの周りを闊歩している。青い字で書かれた「福留孝 介」のハチマキをしている若いカップルや家族もいる。リグレーのまん前のス ポーツバーの窓には、中日時代の福留選手のポスターが貼られている。去年まで 白人文化主流のカブスが、こんなにも日本文化に染まっているなんて・・・福留 効果はすごい!
日本語で書かれたハチマキもあちこちに売っている

 とにかく試合前からすごい人の波だ。みんなさまざまなライトブルーのカブスの ティーシャツと帽子をかぶり、「俺はカブスファンだ!」と全身で表現している。私 もお気に入りのグレーにピンクのCの字が入ったカブスの帽子をかぶってきた が、(これは、知り合いのアメリカ人のカブスファンには結構好評)カブスの ティーシャツを着ていないのが、恥ずかしいぐらい。リグレーの前の交差点をウ ロウロするだけで疲れるので、すぐに球場に入った。

 私たちの席は、1塁側の外野席で、ライトの福留選手側。後ろの席で、福留選手 のことを話している。このところ、息子たちがプレーしているリトルリーグ関係 者たちの話題も福留選手のことばかりだ。8歳の次男のチームメート、ジャシュ も「僕は開幕戦で、フクドメの大きなホームランを見た!」と興奮気味にみんな にふれ回っている。次男のチームの監督、アルは、「フクドメがカブスに入って くれて本当によかった。」と胸をなでおろす。また、息子たちがいつもバッティ ング練習をするベースボール・アカデミーのオーナーのクレイグは、私に「いつ フクドメをよんでくれるのかい?」と冗談をとばし、早速家にあったカブスの背 番号1番のユニフォームをインディアナ大学に通う息子の要請で送ったという。


晴天の春が訪れたリグレー・フィールド
 リグレー・フィールドは、そんなに大きな球場ではない。ホームベース側の美し い茶色のブロック塀が低いため、観客と選手の距離がとても近く感じる。名物の 球場を囲むビルの上に観客席を作ったスカイボックス席もどこもかしこも観客で いっぱいだ。

 ボストンのフェンウェイ・パークに次ぎ、アメリカで2番目に古い 球場、リグレー・フィールド。他の球場よりもつくりがシンプルで、派手なスク リーンボードで選手を紹介する人工的なシカゴ・ホワイトソックスの本拠地、US セルラー・フィールドと対照的に、自然の美しさが目を引く。

 試合は、前半アストロズのペースで進む。カブス打線の調子がでない。6回ま で、5対3で、アストロズの守りも堅く、完全に流れはアストロズだった。6回 表、アストロズのヒットが続き、だらだらと点数を入れられそうになるかと思っ た瞬間、完璧なヒット性の当たりを福留選手がすごい勢いで追いつき、見事なラ ンニングキャッチ。このファインプレーで、アストロズへの流れを断ち切る。そ の時の福留選手の美技にスタンドがどよめいていた。

 そして、その6回裏、ヒットを打ったデレク・リーが2塁のとき、福留選手が まったく予期せぬ意表をついた絶妙なセーフティ・バントをして、みんなを驚か す。3塁が下がっていたのを見のがさなかったのだ。

 その次の打者で、動揺した アストロズのバッテリーがワイルド・ピッチをまねき、リーがホームに帰り、貴 重な1点が入る。この福留選手のセーフティ・バントも試合の流れをカブスにも どす大きな役目をしたようだ。シカゴ・トリビューンのスポーツ・コラムニスト も「6回の福留孝介の美しい、正確で台本にないバントが、カブスのオフェンス のエンジンがかかる突破口になった。」と書いている。(4月6日付、スポーツ欄)

福留選手のこの2塁打で、カブス逆転

 元カブスの名選手ロン・サントが、セブンス・イニング・ストレッチで「テイク・ミー・アウト・ツー・ザ・ボールゲーム」を歌って、カブスファンのノリは 最高潮。7回裏、5対5の同点に追いつき、走者1、2塁で、福留選手。大きな 山場だ。4万もの観客全員が立ち上がり、スタンディング・オベーションで見守 る。「フクドーメ」コールが球場全体にうねりのように湧き起こる。そして、い つもの応援、チャン、チャン、チャチャチャと手拍子で「レッツゴー、カー ビー!」と一斉にチャントする(節をとる)のを、チャン、チャン、チャチャ チャの後に代わりに「フ・ク・ドーメ」とみんなが一斉に大声で合唱する。開幕 戦の最終回の同点ホームランで、「絶対に何かやってくれる!」というカブス ファンみんなの信頼を勝ち取っている。1ストライク、3ボールのカウントで、 ボールくさい球を審判がストライクとカウントしたのだが、悠然と見送る。フル カウントで、2つ鋭いファールで、粘る。開幕戦で見せた「絶対打つ!」という 雰囲気が漂っていた。最後はレフト線へきれいな流し打ち。この2塁打で、2者 生還し、7対5でカブスが逆転する。

 スタンドのファンはお互い抱き合いながら熱狂。待ちに待ったカブスファンの救 世主とでも言おうか。「この選手がいたら、もしかしたら100年来のワールド チャンピオン獲得も夢ではない!」日本からきた助っ人をそんな目でみているよ うな気がする。それほど、福留選手に対するカブスファンの熱狂は異常だ。 「I'm thrilled to death! (サイコーにワクワクする)」と上記のクレイグが福 留選手に対する多大な期待を一言で表現していた。


この日4打数4安打で、福留選手とともに大活躍のデレク・リー
 最後は、9対7でカブスの勝利。この日、ホームランを打った3番のデレク・ リーと共にカブス打線を引っ張って、福留選手は勝利に貢献した。そして、試合 の直後は、勝利のときに流れる恒例のスティーブ・グッドマンの「ゴー・カブ ス・ゴー」ソングをみんなで合唱。

 この曲の「Hey, Chicago, what do you say The Cubs are gonna win today.」という部分がたまらなくいい。なんだか、日 本の阪神タイガースの「六甲おろし」をタイガースファンが歌うのを彷彿させ る。なんとなく、ファンの熱狂さとかってカブスとタイガースは共通点があるよ うな・・・そういえば、シカゴと大阪って、姉妹都市。

 みんな満足そうに球場から出ていくとき、「Fukudome」と大きく書かれたプラ カードを掲げたアメリカ人のおじさんが、大声で、「フクドーメ!」と叫び続け ながら、周りにいる人たちにハイファイを繰り返している。みんな同じ気持ちな のだろう。

 6日目のアストロズ戦では、カブスファンのプラカードもますますエ スカレートし、「福留、私はあなたの子どもを生みたい。」とか 「Fukudometer」などというわけのわからないクレージーなのもでてきた。

フクドメのプラカードを掲げて、「フクドーメ」と何回も叫んでい たおじさん

 開幕1週目でこの調子だから、福留選手が日本のスモール・ベースボールの素晴 らしさをさまざまな場面で見せ続けたら、間違いなく福留選手はシカゴアンたち のヒーローになるだろう。そして、その恩恵にあやかるのは、私たちシカゴ在住 の日本人。このシーズン、息子の野球のチームのアシスタント・コーチを引き受 けた主人の話だと、すでにアメリカ人の監督やコーチたちは、日本人である主人 の練習方法に注目しているらしい。全面的にバッティングコーチを任され、好き にやれとの指示だそうだ。もう1人のアシスタント・コーチ、フィルとその息子 マークは阪神タイガースファン。今やアメリカ人たちは、日本のプロ野球に興味 津々なのだ。今後、福留効果がどんな風に波及していくか注目である。

 ところで、4月5日、リグレーに観に来ていた日本人は意外と少なかったので、 私はちょっとがっかりした。シカゴ在住の日本人の方々、ぜひ今年はリグレーに 行って、福留選手を応援してください。オンラインよりも電話の方がチケットは 取りやすかったので、トライしてみてください。

      
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