シカゴ日本人学校全日校だより

         息子がシカゴ日本人学校全日校小学部を卒業するにあたって


 上の息子がシカゴ日本人学校全日校小学部に1年生の2月から入り、丸5年。月日が過ぎるのは早いもので、3月8日小学部を卒業する。

 小学校最高学年として、この1年は忍耐強く下級生の面倒を見続け、責任感の意義を学び、心身ともに大きく成長した。入学式、運動会、文化祭、修学旅行、交流学習、百人一首大会、そして卒業式など毎学期めまぐるしいエキサイティングなイベントを一つ一つ全力投球でこなしてきた。ふと気がつくと、その大人びた表情から、一つの高い山を乗り越えたかのような充実感さえうかがえる。

 大きなイベントに隠れて一般に意外と知られていない活動だが、5,6年生の学校生活で重要な部分を占める委員会活動は、その山の頂点だとも言える。双葉委員会、集会委員会、飼育体育委員会、図書委員会があるが、息子が所属していた集会委員会は、七夕、クリスマス、節分などのイベントを企画し、それを実行しながら、小学部全部をまとめなくてはいけない。そのイベントの1,2ヶ月前は、休み時間返上でイベントの準備にいどんでいたという。イベントを成功させなくてはいけないという重圧感に苦しみながらも、その委員会活動を通して「今、何を優先してやらなければならないか」という確固とした判断力と行動力が年齢以上に備わったような気がする。

 小人数の中、いろんなイベントやそれにからんだ委員会活動があるため、みんなに平等にチャンスが与えられる。どんなにシャイな子供でもいつかスポットライトが当たる場面がでてくる。それを一つ一つ全力投球でやりとげることで、その子の自信につながり、その後の積極性に結びついていく。これらのポジティブな行動の原点は、どこからでてくるのだろうか。

 私は、先生方が子供たちを心底愛しているところから生まれてくるのではないかと思っている。駐在員家族の現地校志向の流れが強い中、日本人学校の魅力は日本語での確固とした教育内容、多彩なイベントやプログラムの良さが大きいと思われがちだ。しかし、私は、先生たちがいつも子供たちと体当たりで向き合ってくれているところが、最大の魅力だと思っている。

 それは、忘れがちで小さなことだが、毎日下校時の先生方の子供たちを送り出す姿にまず現れている。全員をバスに乗せ、安全を確保した後に、バスが出発して見えなくなるまで、校長先生を含め全員の先生がまるで子供のように手を思いっきり振る。そんな暖かい先生方の日々の熱意が子供たちに伝わり、お互いが刺激し合って、さまざまなことに挑戦していくという意欲が生み出されるのだと思う。さわやかな先生方の態度に導かれ、日本人学校の子供たちは、こちらがドキッとするほど来校者に気持ちのいい挨拶をする。毎朝、中学生が玄関に並んで、小学生たちを気持ちのいい挨拶で迎える。かつて、それらを指摘された双葉会の前会長が、「シカゴ日本人学校は世界一の学校です。」と言われたが、私たち保護者もそう信じている。

 子供たちと体当たりで向かいあうこと・・・それを息子の担任の先生は年頭から一人一人に実践していた。日本の小学校で本気で叱る先生が少なくなってきている中、担任の先生は6年生としてふさわしくない態度をとった子供たちを真剣に叱り、子供たちもそれを真摯に受け止めた。その結果、自分で考え判断でき、どこにだしても恥ずかしくない子供に成長してくれた。クラスのバースディーパーティーの場所で、自ら進んで後片付けをしている子供たちを見たアメリカ人のオーナーが「こんな態度のいいグループは初めてだ。どこの学校?」と聞いてきたほどだ。

 最後の保護者との懇談会で担任の先生が、「いろんな先生たちの教えの積み重ねと支えてきた家族の力、子供たちがもともと持っている力を私が後押ししているだけです。これだけの子たちを送り出すのは、私の自慢です。自信を持って送り出せます。」と言い切っていた。

 私もかつて6年の担任の先生に「今を真剣に生きる」ことの大切さを教わり、それを生涯の指針とした記憶がある。それほど小学校の先生の存在は子供にとって大きいから、ポジティブな影響を与えつづけてくれる先生方に囲まれた日本人学校の子供たちは幸せだ。もちろん先生方が、ここシカゴの地で安心して教育に邁進できるのは、双葉会、JCCC会員企業からの大きなサポートと保護者たちの日々の熱心なヘルプ活動に負うところが大きい。

 小学部を卒業して、まさに、自分で生きていく力が備わった子供たち。中学生になって、日本あるいは、シカゴで、この力を土台にこれから自分の本当に進むべき道を見つけていってほしいものである。

記事:馬場邦子

                                    
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