アメリカ縦断。グレート・ミシシッピを行く

   ●Vol.5 Praire du Chien(プレーリー・ドゥ・シーン 〜ウィスコンシン州

●Text & Photo/ Shoko Nagano

    

 ペピンから国道35号線、通称“グレート・リバーロード”を南下すること約215km、車で約2時間半ほどで次なる目的地、Praire du Chien(プレーリー・ドゥ・シーン)に到着。ウィスコンシン州で2番目に歴史の古い町だ。名前からも想像がつくように、17世紀後半フランス系移民が開拓・定住した“フレンチ・タウン”として知られ、合衆国領になる前はフランス語が公用語として使われていた。先住民のネイティブアメリカンの酋長の名がフランス語で犬(Chien)を意味することから、“Praire du Chien =犬の大草原”と名づけられ、ミシシッピ川に生息するビーバーなどの毛皮交易で大いに盛えた。
 
 1763年、七年戦争(フレンチ・インディアン戦争)でフランスがイギリスに敗れ、フランスが統治していた北米領地もイギリスの支配下となるが、アメリカ独立戦争(1775-1783)でイギリスと先住民の連合軍がアメリカ(合衆国)軍に敗れ、以降は合衆国の領地として統治されていった。 戦争時、イギリス-先住民の連合軍本部が置かれたのが、この町だった。ミシシッピ川湖畔に位置するプレーリー・ドゥ・シーンは、アメリカの歴史が凝縮されている地としても興味深い。






赤で囲まれた部分がPraire du Chien(プレーリー・ドゥ・シーン)に属するエリア。


湖岸の紅葉が人気のミシシッピリバー・ボートツアー
 この町で一番人気のアトラクションは、もちろんミシシッピリバーのボートツアー。地図でもわかるように、プレーリー・ドゥ・シーンのテリトリーは川の中ほどまでに広がっており、その地形を利用してさまざまなボートツアーが企画・運営されている。その中から、約1時間のガイドツアーを体験してみることにした。川に生息する様々な種類の動物の生態や、秋色に色づいた木々を楽しむ人気のツアーだ。
雨上がりのミシシッピ河畔は、一幅の絵のように幻想的。

 ボートは小島の間を縫うようにして進んでいく。船長の説明によると、このあたりミシシッピ川北部は瀬も浅く小島だらけだが、ダベンポートより南にいくと小島はなくなるのだそうだ。あと1週間遅かったらこの両岸の木々はすべて黄金や深紅に染まって実に美しいという。これを目当てに毎年多くの観光客が訪れるそうだが、いかんせん紅葉の時期を事前に見極めて予約をするのは難しいもの。観光局のウェブサイトなどをこまめにチェックしておいたほうがよさそうだ。


アン船長(右)とファーストメイトのカーラさん

      沿岸にはハクトウワシの姿も多く見られた。飛び立ったところを激写
      この時期(10月〜)は何百というハクトウワシが飛来し、その勇壮な姿を見せてくれる。

  



 この町のもうひとつの観光名所が、国定歴史建造物および国家歴史登録財にも指定されているヴィクトリアン・スタイルの大邸宅「Villa Louis」(ヴィラ・ルイス)。もともとは1843年に、毛皮貿易などで財を成した地元の資産家Hercules L. Dousman(ヘラクレス・ドウスマン)が、ミシシッピ川河畔に購入した広大な土地に建てた屋敷。1868年に彼が亡くなった後は、未亡人のジェーンと息子のルイスが後を継ぎ、屋敷は1870年にモダンなイタリアンスタイルに建て直された。



ドウマン家の最初の屋敷(1840年頃)
敷地面積は、17 acres (6.9 ha) 東京ドーム1.5倍の大きさ



 しかし、そのルイスも37歳の若さで病死。屋敷はいったん閉鎖されたが、紆余曲折を経て再びルイスの娘たちの手によって現在のスタイルに再建され、1935年よりプレーリー・ドゥ・シーン市が運営する博物館となった。1952年にはウィスコンシン州で最初のHistoric Site(史跡)に認定されている。



敷地内でパーティーを楽しむドウスマン家族
(photo from Villa Louis : http://villalouis.wisconsinhistory.org/)

 一族の子孫から寄付された当時の膨大な写真や手紙、文書類はもとより、オリジナルの家具調度品や絵画、伝来の家宝などは、1890年当時の生活を生々しく伝える貴重なリサーチ資料となっており、これらのおかげで「Villa Louis」はアメリカで最も忠実に復元されたヴィクトリアン・スタイルの家屋博物館のひとつに挙げられている。

                          (左)正面玄関に続くポーチ    (右) エントランスホール 






屋敷には男女8人ずつの召使いが働いていた。
(左) ドウマン家に仕えた執事さんのお部屋。北部の州にはもちろん黒人奴隷は存在せず、召使いはすべてヨーロッパ系の移民(白人)だった。ひとりひとりに素敵な個室があてがわれていて、待遇の良さがうかがわれた。執事はドウマン家に忠誠をつくし、生涯をここで過ごした。



  
       
当時を再現したダイニングルーム

   
 

 Villa Louisでは、キッチンをそのまま利用したクッキング教室が年間を通して行われている。19世紀の気分に浸りながら料理を体験できると人気だ。

当時のオーブンもいまも教室で使われているという

(2013年10月3日)




 (つづく) ・・・次なる目的地は、「“フィルド・オブ・ドリーム”の里」Dyersville(ダイアースビル)〜オハイオ州





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【Praire du Chien(プレーリー・ドゥ・シーン)情報】

● プレーリー・ドゥ・シーン観光案内(英語)
http://prairieduchien.org/

● イベント
http://prairieduchien.org/?q=visitors/events

● 人気のレストラン 「The Barn Restaurant」
巨大な馬小屋を思わせる外観。肉系が充実したレストラン。
地元の人たちにも大人気で、さまざまな家族イベントに使われている。


32800 County Rd. K
Prairie du Chien, WI 53821
(608) 326-4941
326-5310 (fax)
https://www.facebook.com/DAHBARN


● ミシシッピリバー・ボートクルーズ
お問い合わせ : Mississippi Explorer Cruises
http://www.mississippiexplorer.com/ports/port-prairie-du-chien.php

● “Villa Loius”(ヴィラ・ルイス)
521 N Villa Louis Rd
Prairie du Chien, WI 53821
608-326-2721
時間 : 9:30 am - 5 pm (5月初旬〜10月)
ツアー: 月ー木曜日 10 am-3 pm (金曜日は4pmまで)
入場料: 冬:大人 $15/子供 $7.50
春&メインシーズン : 大人 $10/ 学生・シニア (65 歳以上) $8.50/子供 (5-17才), (5才以下は無料 ) $5
グループツアー 大人 $8 / 子供(5-17) $4
家族 (大人ふたり+5歳から17歳までの子供ふたりまで) $27
http://villalouis.wisconsinhistory.org/

● The Great River Road Museum of Contemporary Art グレートリバーロード現代美術館
http://www.greatriverroadmoca.com/
101 N. Main Street
Potosi, WI 53820
(608) 763-2440
金・土・日11:00 A.M. 〜 6:00 P.M.







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